子供たちの命と心に深い傷を残す育児放棄は、私たちの社会における隠された問題です。
この記事では、育児放棄が子供たちに与える影響、その背景と原因、さらに社会としてどのように対応すべきかについて深く掘り下げます。
育児放棄の実態を理解し、この問題に対する意識を高めることで、より良い支援と予防策を模索します。
執筆/監修者:山内 和也2024年1月24日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。
目次
1- 育児放棄とは
昨年(2021年)、警察が摘発した児童虐待事件は2174件、被害に遭った子どもは2219人に上り、10年間で約4倍に増加しました。
最も多かったのは身体的虐待で、性的虐待、心理的虐待、そして育児放棄も含まれます。
実父による加害が最も多く、児童相談所が対応した虐待相談は約20万5000件にのぼります。
育児放棄は物理的な暴力を伴わないため、発見が困難です。
この記事では、警視庁と厚生労働省のデータを基に、育児放棄の実態について考察します。
2- 育児放棄による悲劇
自宅放置による2歳児の熱中症死
事件の概要
大阪市で、2歳の女児が自宅に放置され、祖母とその内縁の夫がテーマパークに遊びに行っている間に熱中症で亡くなるという痛ましい事件が発生しました。
この子供は、46歳の祖母が事実上の育ての親で、この祖母と50歳の内縁の夫が保護責任者遺棄容疑で逮捕されました。
容疑者は育児のストレスを理由に、以前から子供を一人きりにすることがあったと供述。実母は15歳で育児が困難だったため、祖母に預けられていました。
行政と児童相談所の対応問題
2年前、この女児は容疑者らとの入浴中に溺れ、意識不明になる事故がありました。これを受けて児童相談所はネグレクトと判断し、虐待リスクを「最重度」に認定。
しかし、その後の行政の対応は不十分で、家庭訪問が一度も行われず、リスク判断が「要保護」から「要支援」に引き下げられていました。
行政側は、新たな虐待事案がなかったこと、発育異常が確認されなかったことを理由に挙げています。
育児放棄は、積極的な虐待行為ではなく、むしろ「何もしないこと」によって子供に害を及ぼすことから、児童相談所や行政が介入し対応することの難しさがあります。
3- 家庭内のモラルハラスメントの悲劇
精神的虐待の隠れた形態
親子間でのモラルハラスメント(モラハラ)は、言葉の暴力、無視、差別などにより、子供の自立や人格を否定する形で行われます。
これには、言葉による責めや罵倒、暴言が含まれ、子供の心理的な健康に深刻な影響を及ぼします。
家庭内で行われるため、周囲には気づかれにくく、理解されにくい特徴があります。
モラハラの影響
加害者も被害者も、この行動が精神的虐待であると認識していない場合が多く、親はしばしばこれを「しつけ」と錯覚します。
子供は罪悪感に苛まれ、「自分が悪い」という思考に支配され、モラハラを長年受けていても気づかないことがあります。
家庭内のモラハラへの対応
この問題には、家族内のコミュニケーションの改善や、必要に応じて専門家の介入が必要です。
家庭内でのモラハラは、子供の心身の健康に長期的な影響を及ぼすため、早期の対応と認識が重要です。
4-「しつけのつもり」と自称する“毒親”の現実
虐待の影響を受けた母親の心理
- 感情の抑圧:育児放棄や虐待を受けて育った母親は、しばしば自分の感情を抑え、他人の顔色をうかがうことで生き抜いてきた背景があります。
- 感情コントロールの問題:その結果、感情をコントロールする能力が不足し、成人後も感情が衝動的に暴発しやすくなる傾向があります。
- 感情の麻痺:一方で、感情を感じる能力が低下し、他人に対して無関心になることもあります。
防衛機制とその影響として、不快な記憶を忘れようとする防衛機制を持っており、虐待などの強いトラウマを経験した人は、その記憶を切り離す傾向が強くなります。
毒親としての行動パターン
このような心理的背景を持つ母親は、気分が良い時は子どもを可愛がるが、思い通りにならない時は急に育児放棄や虐待へと転じることがあります。
この行動は、表面上は「しつけのつもり」という形で正当化されることが多いですが、実際には子どもに深刻な影響を与える可能性があります。
育児に参加しない父親の問題点
育児参加の現状と課題
近年、「イクメン」という言葉が普及し、企業も育児休暇を推奨する動きがあるものの、まだ多くの国で男性の育児参加は十分ではありません。 一部の男性は、「男性は稼ぐべき」という伝統的な役割意識を持ち、育児への参加を避ける傾向があります。育児放棄する父親の特徴
- 育児への非参加:育児を母親の責任と見なし、育児に積極的に関わらない男性がいます。
- ワンオペ育児の強制:このような男性は、母親に一人で全ての育児を押し付け、いわゆる「ワンオペ育児」を強いることがあります。
- 暴力やストレスの転嫁:子どもの夜泣きなどに対し、暴力的に接することや、ストレスを母親に向ける行動が見られることがあります。
- 母親の心理的負担:結果として、母親は育児ノイローゼを抱えることになることが多く、家庭内の環境がさらに悪化する可能性があります。
この問題は、父親の育児への積極的な参加と、育児の共同責任を促進する社会的意識の変化が必要です。
育児は共同で行うべきものであり、父親の責任と参加が重要です。
交際相手による子どもへの洗脳と影響
シングルマザーの交際相手と子どもとの関係
シングルマザーが新たに交際する男性にとって、彼女の子どもは「他人」とみなされがちです。
これらの男性は、子どもに対して無関心であり、親子関係を築こうとせず、会話やスキンシップを避ける傾向があります。
子どもへの否定的な影響
子どもが示す意欲や感情に対して否定的に接し、不満を示すと「出て行け」といった威圧的な態度を取ることがあります。
このような行動は、男性が幼少期に受けた暴言や暴力のトラウマから来ることが多いです。
トラウマの影響とその転嫁
男性自身が受けた“しつけ”とされる暴言や暴力によるトラウマが原因で、怒りや自信の欠如を抱えている場合があります。
このような男性は、自身の感情や不安を子どもに向けることで、間接的に子どもにトラウマを与える可能性があります。
5- 探偵が行なう育児放棄の解決方法
探偵が育児放棄の問題に対して行う解決方法は、主に以下の通りです。
情報収集と証拠確保
育児放棄が疑われる家庭の状況を観察し、特定の時間帯や日における親の行動を監視します。
親が子どもをひとりにして家を離れる瞬間や子どもの不適切な扱いを証拠として記録します。
被害状況の詳細な報告
収集した情報を基に、子どもが置かれている状況の詳細な報告を作成します。
必要に応じて児童保護機関や警察に報告し、子どもの安全を確保するための措置を促進します。
法的サポートと継続的なフォローアップ
法的措置が必要な場合は、信頼できる弁護士と連携して、法的な解決策を提案します。
また、介入後も、子どもの安全が継続的に保たれているかを確認するためのフォローアップを行います。
育児放棄の問題解決において、探偵は証拠収集から法的サポートまで、幅広い役割を果たします。
最終的な目標は、子どもの安全と福祉を確保し、適切な保護とサポートを提供することです。
6- 育児放棄の告発先
児童虐待防止法は、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」に対し、福祉事務所、児童相談所への通告義務を課しています。
つまり、児童虐待を発見した場合、いつでも誰でも通告することが可能です。
児童相談所や行政は通告を受け、児童の安全確認などを判断するため、一時保護・面会等の制限調査・質問、出頭要求、立入調査などの措置を講じます。
厚生労働省HP | 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」 |
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また、子育てに関して悩み、周囲に相談できる人がおらず、独りで悩みを抱え込む方に対しての相談窓口も用意されています。
- 「NPO法人日本子どもの虐待防止民間ネットワーク」http://www.jcapnet.jp/
- 「チャイルドライン」HP:18歳までの子ども専用)https://childline.or.jp/
育児放棄問題の解決に探偵を活用しませんか?
育児放棄は子どもたちの未来に深刻な影響を及ぼす問題です。
この問題に対処するためには、専門的なアプローチが必要です。
探偵による詳細な調査と証拠収集は、育児放棄の事実を明らかにし、適切な対応を促進するのに役立ちます。
もし、育児放棄の疑いがある場合や、子どもの安全に関するご心配があれば、私たちにご相談ください。
専門知識を持つ探偵が、子どもたちの安全を確保するために必要なサポートを提供いたします。
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