配偶者や婚約者に「浮気しているに違いない」と、ありもしない浮気の疑惑をかけられ、いくら説明しても信じてもらえずに苦しむ人がいます。
この場合、「(不倫や浮気を)していないことを説明しようがなく、どうしていいのか分からない」ケースがほとんどです。やっていないこと(無実)の証明は「悪魔の証明」とも呼ばれ、非常に困難です。
ましてや、疑われている相手が配偶者や婚約者である場合、信頼関係が破綻する可能性もあり、絶望的な気持ちにもなるでしょう。
そのなかには、疑惑をかける側の人が妄想性障害であることもあり、しつこくに浮気や不倫を疑う原因は心の病である可能性も否定できません。
このような精神疾患を患った相手から、浮気や不倫の疑いを掛けられたとき、どのように対処すればいいのか、解説します。
執筆/監修者:山内 和也2024年5月1日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。
目次
「妄想性障害」とは
日常生活では気づかれないことも
妄想性障害とは、その名の通り「妄想」を特徴とする障害です。パラノイア、偏執病と呼ばれることもあります。
医学でいう妄想とは、「事実ではない」ことを「確信」しており、「訂正ができない」といった条件を満たした状態を指します。
妄想性障害は、この「妄想」が長く続いてしまうことが特徴です。同じく妄想を主要な症状とする疾患に統合失調症がありますが、似て異なる病気です。
妄想性障害では幻聴・幻覚が強いわけではなく、あったとしても妄想に関連する幻覚があるのみにとどまります。そして、統合失調症のように感情が鈍くなったり、意欲が大きく減退したりすることはありません。
そのため妄想以外の点では、日常生活に大きな支障は目立たず普通に見えることが多いです。その一方で、妄想を確信していることにより、生活上や仕事のうえなどで問題が起こることがあります。
自分の考えがおかしい現実を受け入れられないのです。エスカレートすると、イライラたまり、激高したり暴力的な行動を起こしてしまう場合もあります。
本人があることを確信していて訂正もできないことで、それが行き過ぎた行動につながり、思いもよらない敵対的な行動に出るケースもあります。
妄想性障害と統合失調症との違い
一般的に妄想性障害は40歳前後から老年期にかけて発症し、男性に多いといわれています。
統合失調症のような「誰かが殺しに来る」「誰かに見張られている」「悪口を言われている」「ストーカーされている」といった突拍子もない妄想はありません。
妄想性障害による妄想は、奇異な内容のものではなく「配偶者や恋人に裏切られる」「遠くの誰かに愛されている」「病気を感染させられる」など、実際に起こり得るような状況も含んでいます。
また、他の妄想性障害の類型としては、嫉妬型=配偶者や婚約者が浮気をしていると信じ込みます。些細な変化やあいまいな情報から誤った推測をして、思い込みに発展します。
エスカレートすれば、刀傷沙汰に発展する危険性もあります。シェイクスピアの四大悲劇の一つ「オセロー」で、妻に激しい嫉妬の念を抱く主人公の名前から『オセロ症候群』ともいわれます。
色情型
誰かが自分に心を寄せていると思い込み、電話、手紙、さらには監視やストーカー行為などで妄想の対象と接触を図ろうとします。
こうした妄想から出た行動が違法行為となることもあります。しかしながら、本人には違法といった自覚はなく、数々の妄想を秘密にしておく傾向があります。
誇大型
自分には偉大な才能がある、あるいは重要な発見をしたなどと思い込みます。カルト集団の指導者、あるいは信者になることを試みる場合もあります。
被害型
自分に対し陰謀が企てられている、見張られている、中傷されている、嫌がらせをされているなどと思い込みます。裁判所など行政機関に訴えて、繰り返し正当性を主張しようとします(好訴妄想)。
まれに、想像上の迫害に報復しようとして、暴力的な手段に訴えることがあります。統計学的には最も多いタイプです。
身体型
体に不自由がある、体臭がするなど、体の機能や特性に異常なまでに囚われます。
妄想が、寄生虫感染といった想像上の身体疾患を訴える場合もあります。
「オセロ症候群」の現実
“過度な束縛”で困らせることも
このなかでも、配偶者や婚約者に対して、ありもしない浮気や不倫を疑ってしまうケースは、嫉妬型の「オセロ症候群」に属すると考えられます。
その一般的な症状は、相手に対して「勝手にスマホを覗く」「メールを見る」など、過度な束縛行為をしてしまうことが挙げられます。
エスカレートすると、スマホやクルマなどにGPSを取り付けることもあります。
また、束縛行為の対象が男性なら、その職場の同じ部署に女性がいるだけで文句を言ったり「会社の飲み会に行かないで」などと言うことで相手の行動を制限したりします。
このように「理不尽な束縛で相手を困らせる」ことがオセロ症候群の特徴です。
「オセロ症候群」にかかる人とは…
オセロ症候群の原因としては、その人が育った家庭環境が大きく関係していることが多いといわれています。例えば、不倫など男女関係の問題が原因の両親の離婚などです。
また、オセロ症候群にかかる人たちに共通していることは「自己肯定感が低い点」です。過去のできごとがトラウマとなり、“誰かに見捨てられる”という不安が、相手を束縛する行為に繋がります。
しかも、始末の悪いことに、本人のなかでは束縛していることをあまりマイナスにとらえておらず、自覚症状がない場合が多いのが実情です。
あくまでも、相手に対する愛情表現と捉えており、よって理解が得られないと「なんでわかってくれないの?」と、あくまでも被害者意識になってしまい、これが「オセロ症候群への対処」を難しくしています。
事実ではない浮気や不倫を疑われた場合の対応
「嫉妬」と「ヤキモチ」とは違う
嫉妬と似たような言葉に「ヤキモチ」があります。
どちらも他人を妬み、嫌な気持ちになることですが、ヤキモチの場合、対象が恋人や気になる人・親しい同性の友人など、自分の好きな人に寄る意味合いが強い一方、嫉妬は自分より優れていたり、境遇が恵まれていたりする人を羨んで妬む気持ちが含まれるでしょう。
嫉妬には妬みに加えて「恨み」という感情が含まれています。
よって、嫉妬に囚われた人が異常とも思える報復行動に出て、しかもその行動を「自分が正しいと正当化」することもあり得るのです。
相手の“暴走”に付き合わない
配偶者や婚約者にありもしない浮気の疑惑をかけられ、自身での説得では納得してもらえない場合、第三者からの証拠をもって、現実を見せる必要があります。
加えて、相手にオセロ症候群の可能性がある場合は、治療へとつなげる第一歩となります。
ここで重要なことは、浮気・不倫を疑われた側と同様に、疑っている側も苦しんでいることを理解することです。
相手の暴走した思いにつられて、自分も同じような対応をすれば、最悪の結果を招きかねません。
もしトラブルになったら…
“やっていないこと”を証明するために
身に覚えのない浮気・不倫を疑われたとしたら、嫌疑をかけられた本人は何を言っても「言い訳」としか聞こえないでしょう。
疑っている側が精神疾患だった場合、そうでなかったとしても、身の潔白を証明するには第三者からの「証拠」を提示し、失いかけた信頼を取り戻す作業が必要となります。
「自己信用調査」とは
浮気・不倫を疑われた場合に限らず、自身が配偶者や婚約者、職場や友人などにどう思われているのかを調査するのが「自己信用調査」といわれている調査です。
これによって、自身に対して根も葉もない噂を流している人物が判明することもあります。加えて、ご依頼者の行動調査をすることによって、嫌疑が晴れることも可能となります。
こうした無実の浮気・不倫疑惑を掛けられたなどのトラブルに巻き込まれたときは、浮気・不倫調査や自己信用調査の専門家であるファミリー調査事務所にご相談下さい。