幼稚園や保育園からの様子を知らせるツールとして「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」が使用されていたり生活には必要不可欠なツールです。
親心として「子どもの成長を見てほしい、または残しておきたい」というのは理解できますが、それが発端となってトラブルや事件になるケースも発生しています。
SNSなどインターネット上に公開された写真は、連れ去り、誘拐事件に発展する可能性があります。他人のプライベートな情報を許可なく公開することはトラブルの元となります。
人や住所、生活地域などの「特定」に長けている人も存在していますので、個人情報をインターネット上へ公開する際に周囲の大切な人たちを守るために気を付けましょう。
この記事では相談事例や注意点をご紹介いたします。
執筆者:湯出2024年1月23日
ニッチな情報収集と潜入調査が得意。ポジティブな姿勢と忍耐力で問題解決に全力を注ぎます。
目次
増加するSNSトラブル
幼稚園や保育園からの画像提供方法としてSNSが使用されていたり、ママ友でもつながりやすいためSNSのやり取りが頻繁に起こっています。
なかには、無断で他人のお子さん写真をアップするなど、ネットリテラシーに反する人もいます。
無料相談で受付けた事例
「勝手に子どもの写真をアップしないで」
相談者:主婦 Nさん(30代)
ママ友のJさんはNさんたちが暮らす地域ではちょっとした有名人で、頻繁に家族写真をSNSへ公開しています。
先日、親子数組でお出掛けした時の写真をJさんは自身のSNSで公開していたのですが、私の子どもの写真と名前入りコメントもアップされていました。私自身、SNSへ自分たち家族の写真は一切アップしていないので、Jさんに削除するようにお願いをしました。
Jさんは「子どもの写真をアップするくらい、今では普通でしょ」と悪びれていない様子で、画像削除に応じてくれません。さらに「バズってるから削除したくない」というような自分勝手なことも言いだしました。
そして、ボスママ的存在のJさんは取り巻きを使って私を村八分に仕立てあげようとしています。このような仕打ちにするなんて、くたびれてしまいます。
周囲の人はJさんを恐れているので投稿に「いいね」を押して持ち上げてしまうのかと思います。
Nさんのまわりには同じような被害を受けている人がいるようです。
後日、Jさんは画像の削除に渋っていましたがなんとか画像は削除に対応したようです。
Nさんへのいじめのような素振りはエスカレートし、あからさまな無視や悪口だけでなく、Nさんのお子さんは学校でいじめへ発展してしまったのです。
子どもの画像を公開する理由
ネットに公開された画像は完全に削除できません
危機感の意識の有無によって起こるトラブルです。
普段の危機感から、子どもの写真をSNS上に投稿しないでほしいという考えの人もたくさんいます。昨今のSNS関連のニュースや事件などを目にすることが多いので、危機感が生まれるはずです。
SNSに写真を投稿する理由
写真を公開する主な理由として「子どもの成長やかわいさを共有したい」が大半でしょう。
しかし、ネットリテラシーを理解しているかにもよります。
なので、「その子どもが一緒に写っていることを、あまり気にせずにアップしてしまった」という価値観の違いがこのような意見の違いが発生してしまします。
なかには、自分の子どもを利用してバズりたい一心で、後先考えずにSNSなどに写真を投稿してしまう親もいます。写真を投稿する前に「公開しても大丈夫か」と、もう一度考えましょう。
写真や動画を投稿するリスク
楽しくSNSを有効活用するためには、リスクも知っておく必要があります。
軽い気持ちで行った投稿が、子どもを危険にさらす可能性もあることを保護者が認識しておかねばなりません。
性的対象として悪用
子どもの写真や動画をアップするということは不特定多数の人々の視線に触れということで、なかには「子どもを性対象として見ている」というように、親が想定しないような視点で子どもを物色している大人が存在していることを忘れてはいけません。
何者かが子どもの写真を児童ポルノサイトで拡散させたり悪質なコラージュ写真を作成されてしまう恐れもあります。
今回のトラブルの場合も、最悪のケースで言えば、地名がわかる公園など映っていた場合に「この子には、この場所に行けばいるんだな」などと考える犯罪者に情報を渡すことになってしまうのです。
家族が誹謗中傷の対象になる
ネットの反応は好意的なものに限らず、暴言を書き込まれたり、誹謗中傷の標的にされる場合があります。
当事者にとっては何気ない日常も、見るものによっては妬みや不快感を煽ってしまうことがあるのです。
また、自身のお子さんであっても恥ずかしい写真などが成長してから、友人の間で広まれば、冷やかしやいじめの材料になる可能性もあります。
将来、子どもが傷つく原因を「親が作った」というようなことがないようにネットに投稿した情報はコピーや拡散された場合、それらを完全に消し去ることは事実上不可能だということを忘れないようにしましょう。
事件に巻き込まれる可能性
子どもの背景に写っている自宅周辺や学校、公園などから、居場所を割り出すことはとても簡単です。画像を公開するときは、生活範囲での撮影は写り込みには注意が必要です。
このようなことを気を付けなければ、お子さんがストーカーや誘拐などの事件に巻き込まれてしまう可能性があります。
特に運動会の写真はお子さんの体操服に名前がついていることが多く、個人を特定しやすいので細心の注意が必要です。
たとえ許可があっても、よその子どもの写真をネット上に公開することは避けましょう。
無断で公開されたときに起こること
肖像権侵害トラブル
誰にでも自分の姿を無断で撮影されない権利があります。
また、被写体が子どもの場合、親権者たる親の許可がない限り勝手に撮影はできません。
これらは「肖像権」と呼ばれ、撮られた写真や画像を勝手に利用や公表できない権利もあります。
最近では安全面への配慮から、自分の子どもの写真を撮ってSNSなどにアップするときには、他人の子どもが写りこまないように注意するケースも少なくありません。
ただし、判別つかないほど小さく映り込んでいたり、被写体本人許可をもらっている場合は肖像権の侵害にはなりません。
肖像権侵害トラブル
上記事例のように、ママ友に無断でSNSに子どもの写真をアップされ、すぐ気が付き削除を求めるという方法は正しいと言えるでしょう。
SNSや掲示板、ブログなどに無断で掲載されていた場合、時間がたつほど多くの人の目に触れることになるので、一刻も早く画像を削除してもらうことが重要です。
削除依頼は投稿者が確認できる場合は該当アカウントへ、投稿者がわからない場合はサイトの運営会社や管理者に削除を依頼しましょう。
プライバシー権の侵と名誉棄損
削除のお願いしても応じてもらえない場合は、プライバシーの侵害として民法709条の不法行為に該当する可能性があります。
その場合、削除を求めたり、差止請求を行なったりすることはもちろん、拡散などの被害に遭ったり損害を受けた場合、慰謝料として損害賠償請求をすることも可能です。
子どもだけの問題でなく、家族全体にとって非常に危険な状況となる可能性があるので早めに行動しましょう。
専門家に相談する
相手が特定できず削除できなかったり、証拠を隠ぺいして誤魔化したりなど、自分では対処しきれない場合に専門家にご相談することをお勧めいたします。
また、投稿したのがご友人など近い人であれば、直接指摘することでその後の人間関係にも影響してしまう可能性もあります。
また、差止請求や損害賠償請求をするにも、自力で直接相手方に請求しても相手にされなかったり、請求額からかなり減額されてしまったりする可能性もあります。
問題解決に向けてネット上の画像特定や犯人特定など、証拠探しをして、しかるべき対応策をサポートできます。
公開前にチェックする5つの注意点
このようなSNSでのトラブルやリスクを回避するための最短方法は、子どもの写真や動画をSNSやブログに投稿しないことです。
リスクを踏まえたうえで、ネットで子どもの写真や動画を掲載する場合の注意点をおさえておきましょう。
写真を公開する前に気を付けたい5つのこと
何気なく上げた被写体を、親とは異なる視点で見ている人間が必ず存在していることを忘れないようにしましょう。
- よその子どもが映った写真は許可なく投稿や公開しない
- 投稿の公開範囲を友人や家族だけに設定する
- 位置情報が確認できないように写り込んだ背景の注意やスマホの設定をする
- 子どもの尊厳と安全に配慮した写真や動画を選定し、投稿前に内容を見直す
- 自身のお子さんであっても風呂やプールの写真はアップしない
子どもだけでなく家族全員が被害に遭います
何気なくお子さんの画像等を投稿していると、その画像や内容に関して不快に感じる人がいる可能性は前に示唆した通りです。
その場合、子どもだけでなく投稿している親やその家族に向けて誹謗中傷してくることがあります。
このような誹謗中傷にあってしまう場合、画像を投稿したSNS等ではなく、匿名掲示板上で投稿されているケースが多く、拡散されてしまうケースも考えられます。
被害が拡大すると、拡散した誹謗中傷を削除しきることすら難しくなってしまい、親自身も大変な目に合ってしまうおそれがあります。
公開範囲を設定して投稿しましょう
子どもの画像を友人等に「見てもらいたい、どうしてもSNS等に投稿したい」と考えるのであれば、公開範囲を限定して被害を最小限に抑えられるようによく考えて投稿しましょう。
SNSを安心して利用できるように
情報を入手するだけでなく、誰でも気軽に情報を発信できる時代です。トレンドに強い若い世代を中心に、顔も知らない膨大な数のユーザーに向けて自身の情報を発信しています。
特にInstagramやブログのように写真に特化したSNSが問題になっています。内容は「自分らしさの主張」が目的であったり、ライフスタイルへの共感など動機はさまざまです。
ただ、水面下では深刻なトラブルになっていることも忘れてはならないのです。特に子どもの尊厳だけは守らなくてはなりません。
被害が拡大し、ご自身で対処は難しいとお困りの場合は、当事務所が一緒に問題の解決へ目指します。
併せてアフターサポートもおこなっております。問題解決後、人間関係の修復のお手伝いや再び問題が起こった場合にお役立てください。
無料相談は24時間受付けております。お電話はもちろん、メールやLINEにてご相談ください。