不動産相続は、多くの場合、複雑で時間がかかるプロセスです。
相続財産の中でも、特に不動産はその価値評価が難しく、正確な市場価値の把握が必須となります。
この過程で重要となるのが、類似物件調査です。
類似物件調査により、相続不動産の適正な価値を見極めることが可能になり、相続税の評価基準や相続人間の公平な財産分割の基礎となります。
しかし、類似物件の選定や評価だけでなく、時には隠された問題を発見するための探偵調査が必要になる場合もあります。
この記事では、不動産相続における類似物件調査の必要性と、探偵調査が必要になる具体的な事例、そしてその調査プロセスについて詳しく解説します。
執筆者:波多野 里奈2024年2月5日
教育学をはじめ臨床心理学、行動心理学を学び、人が抱える悩みや問題に寄り添いサポートすることを得意とする。結婚や離婚に関する問題、素行調査に関する相談解決実績多数。英語の語学力を生かし海外探偵調査の相談窓口を担当。
目次
類似物件調査の必要性
不動産相続における類似物件調査は、相続不動産の市場価値を正確に評価する上で欠かせないステップです。
この調査により、相続する不動産の価値を、同じ地域内の似た条件を持つ他の物件と比較することが可能になります。
これは、相続税の申告や相続人間での財産分割を公平に行うための基礎となります。
類似物件とは?
類似物件とは、同じ地域や同じ条件で取引が行なわれた不動産のことを指します。
つまり、同じエリア内で同じ用途、築年数、広さ、間取り、建物の構造などの条件が類似している不動産を比較することができます。
類似物件を選定する場合には、用途や広さ、築年数、間取り、建物の構造などができるだけ近いものを選ぶことが望ましいです。
ただし、完全に同じ条件の不動産を見つけることは難しいため、類似する条件をできるだけ多く取り入れて、複数の類似物件を比較することが重要です。
価値評価の精度向上
市場価値の評価は、不動産の特性(立地、サイズ、建物の状態など)に大きく依存します。
類似物件調査によって、これらの特性が似ている物件の売買情報を収集・分析することで、相続不動産の価値をより正確に推定できます。
税務申告の正確性
相続税の申告において、不動産の適正価値を正しく報告することは法的義務です。
類似物件調査を行うことで、税務署が求める「市場価値に基づく評価」を実現し、税務上の問題を避けることができます。
相続人間の紛争防止
相続不動産の価値が明確になることで、相続人間での不公平感を解消し、紛争を防ぐ効果があります。
特に、複数の相続人がいる場合、不動産の適正な評価は平和的な財産分割を促進します。
探偵調査が必要になる事例
類似物件調査だけでは解決できない複雑なケースも存在します。
ここでは、探偵調査が必要となる具体的な事例を紹介します。
隠れた負債の発見
相続する不動産に未公開の負債や抵当権が存在する場合、これらを明らかにするために探偵調査が必要になることがあります。
探偵は公的記録だけでなく、プライベートな情報源を駆使して真実を解明します。
過去の紛争の調査
不動産が過去に法的な紛争の対象となっていた場合、その詳細を調べるために探偵が雇われることがあります。
紛争の内容や解決状況を知ることで、相続におけるリスクを把握できます。
不正確な不動産記録の訂正
公的な不動産記録に誤りがある場合、それを訂正するためには、詳細な調査が必要になります。
探偵は、地元の役所や関連する機関を訪れ、正確な情報の収集と記録の訂正をサポートします。
相続人間の不一致の解消
相続人間で不動産の価値に関する意見が分かれる場合、第三者である探偵が中立的な立場から調査を行い、適正な評価を支援します。
これにより、相続人間の合意形成を促進できます。
類似物件調査の手順
類似物件調査の手順は、以下のように目的の明確化と収集する情報の決定、情報の収集、類似物件の選定、データの分析、評価額の算定の「5つのステップ」で構成されます。
2-1 目的の明確化と収集する情報の決定
まずは、類似物件調査の目的を明確にします。相続不動産の評価のためか、売却価格の設定のためか、目的に合わせて調査の範囲や手法を選定します。
そして用途や広さ、築年数、間取り、建物の構造、価格、取引時期など、相続不動産と類似する条件を決定します。
2-2 情報の収集
不動産情報の収集を行ないます。不動産取引サイトや不動産業者のデータベース、新聞広告などから、類似物件の情報を収集します。
また、現地に出向いて物件を実際に見ることも必要になる場合があります。
2-3 類似物件の選定
収集した情報をもとに、相続不動産と類似する条件の物件を選定します。
類似物件は、同じエリア内で同じ用途、築年数、広さ、間取り、建物の構造などの条件ができるだけ近いものを選ぶことが望ましいです。
2-4 データの分析
収集した情報を集計し、相続不動産と類似する条件で取引された不動産の価格情報を多数集めます。集めたデータを分析し、相続不動産の市場価格を推定します。
2-5 評価額の算定
上記の手順を踏まえて、相続不動産の評価額を算定します。評価額が高すぎる場合は、相続税の負担が増えることになるため、適正な評価が必要です。
類似物件調査の調査事例|調査費用
【60代男性 相続財産を売却するかの判断】
もうすぐ90歳になる父がおり、体調があまりよく無いためそろそろ相続のことを考えなければならないと家族で話しておりました。
父名義の自宅と別荘があり、自宅に関しては兄が住んでいるためそのまま名義変更で相続することが決まっておりますが、別荘に関してが悩みの種となっております。
父が元気な頃はよく使っていましたが、今は年に数回しか使っておらず今後もどうなるかわからない為、売却した際と相続した際の比較をしてから考えたいということになり、調査をお願いする運びとなりました。
評価を行なったところ、今は売却するのではなく貸し出す方がいいという判断ができ、相続して貸し出すことにしました。
こういうことは知識の人に判断してもらった方が依頼側とってメリットしかありません。悩んでいらっしゃる方は一度相談だけでもすることをお勧めします。
調査費用
調査項目:市場調査・類似物件調査
調査期間:10日間
調査費用:44万円(税込)
ファミリー調査事務所は、各種専門家との連携による調査・サポートも行なっております。
今回のような不動産を売却するかどうかの判断をしたい場合、地域に詳しい不動産業者や売買に詳しい不動産業者と連携を取り、依頼人が納得して答えを出せるよう複数の会社から情報を収集いたします。
また、相続税に関しても弁護士と連携して行くことも可能ですので、何ヶ所にも問い合わせをする必要もありません。
不動産相続の相談窓口
人生誰でも直面する相続問題。できることなら手間や揉め事などのトラブルを避けたいですよね。
生前贈与や遺言書があればトラブル自体はある程度回避することはできますが、そうもいかないのが不動産の相続。
そのまま所持するのか、売却するのか、貸し出すのかなど選択肢は色々ありますが、何が一番良い選択肢なのか判断ができない方がほとんどかと思います。
ファミリー調査事務所は、さまざまな不動産関連の知識と経験がありますので、トラブル解決のお役に立てるかと思います。
不動産相続に関するご相談は、お問い合わせフォーム・電話・メール・ラインにて24時間365日お受けしています。