レンタル事務所を使用する探偵社は一見すると実態が把握しにくく、クライアントにとっては不安要素となることがあります。
この記事では、実態が見えにくいレンタル事務所を避けるべき理由と、信頼できる探偵社を見分けるための重要なポイントを紹介します。
適切な探偵社の選択が、問題解決への第一歩です。
執筆者:波多野 里奈2023年11月27日
教育学をはじめ臨床心理学、行動心理学を学び、人が抱える悩みや問題に寄り添いサポートすることを得意とする。結婚や離婚に関する問題、素行調査に関する相談解決実績多数。英語の語学力を生かし海外探偵調査の相談窓口を担当。
目次
1- 探偵社が「レンタルオフィス」を使う理由
ベンチャー企業や開業間もない小規模事業者に限らず、いまや大企業が事業でもレンタルオフィスが活用されています。
多くのレンタルオフィスは駅前や市街地にあり、かつ低価格で借りられ、事務機器なども一式揃っていていることから利便性が良いというメリットがあります。
そして、何といっても低価格で「一流の住所」が手に入るという点が、レンタルオフィスを好んで利用されるポイントでもあります。
また、地方への事業展開の拠点(支店)として、レンタルオフィスが使われるケースも多く見られます。
一般的な賃貸物件と契約する場合と比較すれば、立ち上げまでの時間や手間を大幅に圧縮できることもメリットといえます。
2- レンタルオフィス探偵の注意点
まず、探偵業は警察に届出をして、公安委員会から「探偵業届出免許証」の交付を受け、営業所内の見やすいところに掲示することが義務付けられています。
これは、探偵業が他人の権利を侵害(プライバシーなど)する可能性のある業種であることに鑑みて、行政が探偵業者を管理するとともに、依頼者が免許のない探偵に依頼することがないようにはかっているものです。
そこで、探偵業の届出をするときには、事業所の住所を記載しなければなりません。
実体のないバーチャルオフィスを利用することは認められません。
専門性の疑問
探偵業務は専門的な知識と技術を要します。
レンタルオフィスを利用する探偵社が、低コストで運営を行うために必要な専門性や資源を欠いている可能性があります。
プライバシーの懸念
探偵業務は高度なプライバシーと機密性を要求されます。
レンタルオフィスでは、セキュリティやプライバシー保護の面で制限がある場合があり、クライアントの情報が適切に保護されているか不安が残ります。
「クーリングオフ」できない?
レンタルオフィスを利用している探偵社の多くでは、専用の相談スペースのために、相談員が「近くの喫茶店かファミレスでお話を伺います」といったケースが多く見受けられます。
ところが、これが大きな落とし穴であることは、あまり知られていません。
2008年、特定商取引法の改正により、探偵業もクーリングオフが適用されるようになりましたが、その適用範囲は「自宅・事務所以外で契約した場合」とされています。
いざクーリングオフしようとするときに、どこで契約したかで業者と揉める可能性があります。
悪徳の探偵社になると、「相談室が空いていなかっただけで、事務所で契約したのと同じであり、クーリングオフには対応できない」と言い出す悪徳な探偵社もあります。
逆を言えば、相談は事務所外であっても、事前にクーリングオフについての説明がなされる業者であれば信頼できるといえます。
バーチャルオフィスは認められない
バーチャルオフィスとレンタルオフィスは似ているように見えて、全くの別物です。
レンタルオフィスは「オフィスに相談員や調査員がいれば相談できる」ものですが、バーチャルオフィスは、そもそもオフィスの実態がありません。
業務スペースがなく、住所を“借りる”だけのバーチャルオフィスはレンタルオフィスとは違い、低コストで「自称・大手探偵」と見せかけることが可能となり、悪徳業者の多くがこの手法を利用しています。
長期的な信頼関係の構築に影響
探偵社とクライアント間の信頼関係は、長期的な成功に不可欠です。
レンタルオフィスを使用する探偵社では、安定した業務基盤の不在がこの信頼関係の構築を難しくします。
しかし、例えレンタルオフィスであったとしても、その場に相談員や調査員がいれば、一概に“悪徳業者”と断じることはできないでしょう。
“悪徳業者”であると思われる探偵社には共通の特徴があります。
- 「常駐している相談員は本社にしかいない」
- 「相談内容が周りに聞こえる環境」
- 「表示義務のある探偵業届出証の掲示場所があいまい」
- 「契約書などの保管場所がない」
これらの理由から、レンタルオフィスを使用する探偵社を選択する際には、慎重に検討し、事前に十分な調査を行うことが重要です。