個人同士の取引や貸し借りは、ビジネスや日常生活において一般的な行為です。
しかし、これらの取引には潜在的なリスクが存在します。
そこで、個人信用調査の重要性が浮き彫りになります。
本記事では、個人同士の取引や貸し借りにおけるリスク管理の必要性について解説します。
執筆者:波多野 里奈2024年2月5日
教育学をはじめ臨床心理学、行動心理学を学び、人が抱える悩みや問題に寄り添いサポートすることを得意とする。結婚や離婚に関する問題、素行調査に関する相談解決実績多数。英語の語学力を生かし海外探偵調査の相談窓口を担当。
目次
個人同士の取引や貸し借りに潜むリスクとは?
個人取引のリスク
個人同士の取引や貸し借りには、支払いの遅延、未払い、詐欺、不正行為などのリスクが存在します。
相手の信用度や信頼性を事前に把握せずに取引を行うと、金銭的な損失やトラブルの発生の可能性が高まります。
例えば、貸し借りの際に相手が支払い義務を果たさない場合、取引相手の評判や過去の信用履歴を知ることが重要です。
個人取引トラブルの現状
2020年に公表された経済産業省の「個人事業主・フリーランスの実態に関する調査報告書」によると、
■取引先とのトラブル有無・・・37.7%がアリと回答。
■トラブルが生じたときの対処方法 ・・・
○ 交渉せずに受け入れた者が2割
○ 交渉せず、自分から取引を中止した者は1割
■取引先とのトラブル内容
契約内容が不明瞭、報酬の未払いなどのトラブルが多いです。
■トラブルを交渉せず受け入れた理由
今後のフリーランス活動への影響を不安視して、取引先にトラブル発生時に交渉せずにあきらめてしまう場合が少なくないようです。
<参考:経済産業省 個人事業主・フリーランスの実態に関する調査 報告書>以上の統計から、事前の取引先の信用情報や契約内容などが不明瞭なまま取引をはじめてしまうと、トラブルが起きてしまった後には交渉が難しく、泣き寝入りしてしまう状況が少なからずあるということが分かります。
個人信用調査の目的
個人信用調査の目的は、相手の信用度や信頼性を明確にすることです。
よくある目的として次のような例が挙げられます。
金銭取引(融資・出資・契約)前に相手の弁済能力を確認するため
- 取引先の支払い義務を果たす能力や過去の信用履歴を確認するため
- お金を貸す際の保全のため
- 個人資産・財産、借財、収入、生活水準等の確認のため
契約ごと(賃貸・販売・その他)前に相手人物や財産物の有無を確認するため
- 会社に社員として採用する際の判断材料として
- 共同事業をはじめる相手の事前情報として
個人信用調査のメリット
トラブルを未然に防ぐ
リスク予防とトラブル回避
探偵による信用調査は、取引前に相手方の信用度や信頼性を評価することを可能にします。
相手の過去の信用履歴や評判、資産状況などを調査することで、リスクの高い相手や支払能力に問題のある相手を事前に特定することができます。
これにより、トラブルを未然に回避することができます。
健全なビジネス関係の構築
探偵による信用調査は、個人事業主が信頼性の高い取引相手と出会うことを支援します。
相手方の信用度を確認することで、健全なビジネス関係を築くことができます。信頼できる取引相手との関係は、長期的なビジネスの成功につながります。
投資や貸し借りの判断材料となる情報提供
探偵は専門的な調査能力を持っており、信用調査において貴重な情報を提供します。
相手方の背景や経歴、過去の取引履歴などの情報を入手し、客観的な評価材料となる報告書を提供します。
これにより、個人事業主はより合理的な投資や貸し借りの判断を行うことができます。
交渉力の向上
探偵による信用調査の結果を手に入れることで、個人事業主は交渉の際に強い立場を築くことができます。
相手方の信用性やリスクに関する情報を持っていることは、交渉の際に有利な要素となります。
自身の立場を守り、より有利な条件での取引を実現することができます。
プライバシーと匿名性の保護
探偵は調査の過程で個人のプライバシーや匿名性を保護するための対策を講じます。
個人事業主が直接相手方の調査を行う場合に比べて、情報の漏洩やトラブルの発生リスクを低減することができます。
トラブル後の損失を最小限に抑える
事実確認と証拠収集
探偵は専門的な調査能力を持っており、トラブルの原因や背後にある情報を明らかにすることができます。
証拠の収集や関係者への取材を通じて、事実を把握し、トラブルの解決に役立てることができます。
非公開情報の入手
探偵は一般の人が入手しにくい情報源にアクセスすることができます。
相手方の経歴、信用履歴、資産状況などの非公開情報を入手することで、相手の信用性や支払能力を客観的に評価することができます。
評価とリスク管理
トラブルが発生した後に探偵による信用調査を行うことで、今後の取引におけるリスクを最小限に抑えることができます。
探偵の調査結果を基に、相手の信用性を客観的に評価し、将来の取引におけるリスクを適切に管理することができます。
法的手続きの支援
探偵は調査結果をもとに報告書を作成することができます。
これにより、トラブルの解決や法的手続きの際に有益な証拠となります。
探偵の報告書は裁判所や弁護士などの関係者に提出することができ、訴訟や債権回収の手続きを支援する役割を果たします。
依頼事例
WEBデザイナー:取引相手の信用調査
依頼の経緯:
フリーランスのAさんは、新しい取引先との取引を検討していました。
彼はウェブデザインの仕事をしており、新しいプロジェクトに取り組む機会を求めていました。
ある日、彼はインターネット上で取引先のB社と出会いました。
初めのコミュニケーションでは、B社の代表者とのやり取りがスムーズであり、プロジェクトに興味を持ったAさんは取引契約を検討しました。
しかし、取引先のB社について何か不審な点を感じ始めました。
B社のウェブサイトやSNSの活動は限られており、他のクライアントの存在もほとんど見つけることができませんでした。
また、B社の実績や評判に関する情報も乏しく、信頼性について不安を抱くようになりました。
Aさんは自身のビジネスの安全性を確保するため、B社の信用性を確認することを決断しました。そこで、探偵事務所に個人調査の依頼をすることにしました。
調査結果:
B社の代表者の経歴や過去の取引履歴、信用情報を入手するために調査を開始しました。
公的なデータベースやインターネット上の情報を調査し、B社の信用性に関する報告書を作成しました。
調査結果を分析したAさんは、B社の信用性に疑問を抱き、取引契約を締結することを見送ることにしました。
結論: フリーランスのAさんは、不審な取引先であるB社との取引を検討する前に、探偵による個人調査を依頼しました。探偵の調査結果に基づいて判断した結果、Aさんは取引契約を見送り、潜在的なトラブルから身を守ることができました。
建設会社経営者:未払金回収のための信用調査
依頼の経緯:
個人事業主であるTさんは、小さな建設会社を経営しています。
ある時、彼は取引先である工事会社から大きな仕事を受注しました。
契約は正式に取り交わされ、工事が始まりました。
しかし、工事が進むにつれて支払いが滞り始めました。
最初は一部の支払いが遅れたと思っていましたが、やがて工事会社からの連絡が途絶え、未払いの額も増えていきました。
Tさんは自身の会社の安定的な運営のために未払いの債権を回収する必要性を感じ、弁護士に相談しました。
弁護士は法的手続きや債権回収に関するアドバイスを提供しましたが、情報収集や債務者の所在確認には限界がありました。
そこで、Tさんは探偵事務所に債権回収調査を依頼することにしました。
調査結果:
債権回収に特化した調査方法や情報網を利用して、債務者の居場所や資産状況を特定する調査を開始しました。
工事会社の背後に隠れた関係者や不正行為の手がかりを見つけ出すために、調査対象者の行動や身辺を詳細に調査しました。
債務者の関係者とのコミュニケーションや監視活動を通じて情報を収集し、債務者の現在の所在を突き止めました。
Tさんは調査結果の情報を元に、弁護士と協力して債権回収の手続きを進めることができました。
結論:調査結果は債務者の資産状況や居場所の特定に役立ち、債権回収の成功につながりました。