最近ではテレワークを導入する企業が増えたことで、在宅勤務中の社員のサボりの問題に悩まされる企業も多くなりました。
この記事では、サボる社員の特徴やとるべき対策、給料の返還や損害賠償請求など、考えられる対処法について詳しく解説します。
- サボる社員の特徴
- 社員をサボらせないための対策
- サボった社員への損害賠償請求
- サボりの証拠を集めるための素行調査
執筆/監修者:山内 和也
2023年3月19日
目次
仕事をサボる不良社員が与える企業リスク
「仕事をサボる社員くらいどこにでもいるだろう」という感覚をお持ちの方も多いかもしれません。
軽視されがちな社員のサボりを見過ごすことは、会社の信用を損ないかねない、大きなダメージになり得ます。
具体的にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
売上に対して人件費がかさみ収益率が落ち込む
不良社員のサボりの時間に対しても給与を支払うことになるため、売上が下がる上に支出は変わりません。
そのため、収益率に大きな影響を及ぼします。
社内風紀の乱れや他の社員のモチベーションの低下
仕事をサボるような後ろ向きな社員の存在は、他の社員に負担がかかることに。
社員全体のモチベーションを低下させる原因になります。
最悪の場合、有能な社員が会社を辞めてしまうという悪循環を作りかねません。
企業の信用を損ねる可能性
社員は会社の顔とも言える存在です。
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優秀な社員ほど仕事をサボる?不良社員の特徴
実際に、企業にとってリスクとなる、不良社員の特徴の一例をご紹介します。
仕事をサボる人の特徴① 仕事ができて優秀
優秀な人材ほど仕事を効率よく終わらせることが出来ます。
そのため、自分がやるべき仕事を素早く終わらせ、残りの時間を私用にあてているケースがあります。
やるべきことをやって成果を残していれば問題はないとも考えられます。
せっかく能力があるのならば、さらに成果を出してもらいたいと考える企業は一般的です。
しかし、自分の能力を行使して必要以上に作業をしても、それに見合った給料をもらえるわけではないので、優秀な人ほど効率よくサボることを考えるのです。
仕事をサボる人の特徴② 責任感がない
業務を成し遂げる必要性を感じることができない、いわゆる責任感がない人は仕事をサボりがちです。
特に、チームで仕事を行う場合、「自分がやらなくても誰かがやってくれる」といった考えでサボり癖がついてしまっていることが考えられます。
仕事をサボる人の特徴③ モチベーションがない
仕事に対してモチベーションがないタイプの人は、仕事に興味を持てず、勤務時間をやり過ごすことしか関心がないのでサボりやすいと言えます。
仕事をサボる人の特徴④ 自己中心的な性格
自己中心的で自分の欲求を満たしたいタイプの人は、必要以上のことはせず、最低限の仕事だけこなしてダラダラ過ごしている人が多い傾向にあります。
仕事中であるにも関わらず、休憩を言い訳に、SNSの閲覧やゲームをしたり、個人的な用事のために時間を使ってしまうのです。
仕事をサボる人の特徴⑤ 自分を過信している
「自分は仕事ができる」と勘違いしている人は、特にルーティーンワークの場合に怠けやすい傾向にあります。
いつもの仕事や慣れた仕事はすぐに対応できると過信している
このタイプの人は大きな失敗をする可能性が高いと言えます。
仕事をサボる人の特徴⑥ 学生気分が抜けない
社会人である意識が薄いタイプの人は、労働の対価として給料をもらうものだという感覚も薄く、仕事はサボりがちになります。
受け身の学生気分が抜けず、学校と会社の感覚の切り替えがうまくいかないこと
社員をサボらせないための方法
サボってしまう社員の特徴を考慮し、社員をサボらせないための効果的な対策についてご紹介します。
注意、指導する
シンプルな手段ですが、サボっている人に対して注意を促しましょう。
本人に仕事サボりの自覚を持たせることができます。
ただし、仕事に対してのパフォーマンス、スピードは人によって違うので、注意する際には確実に仕事をしていないだろうという証拠を集めた状態で行います。
注意や指導を繰り返しても改善されない場合は、就業規則に沿って処分を検討することになります。
積極的にコミュニケーションをとる
コミュニケーションを頻繁にとることで、モチベーション管理や仕事の進捗を確認できます。
ただ、何度も何度も話しかけられて、進捗を確認されるのはイライラする上、余計にサボりを促進する可能性があり逆効果です。
タイミングや頻度を考えて行ないましょう。
空間の共有
最近ではテレワークを導入する企業が増え、在宅勤務でのサボりの問題も多くなっています。
物理的な監視環境がなくなる分、サボりやすくなります。
こういったテレワークでのサボりの防止には、WEB会議をカメラオンで行うことが有効です。
相互に顔をあわせ、擬似的な空間を共有することで、常に見られているという意識が働き、サボりは解消されるでしょう。
ポジション変更の検討
サボる原因として、その仕事に向いていないか、またはその仕事が嫌いな可能性がもあります。
本人の能力と本人のキャリア意向を十分に考慮し、適材適所、仕事の振り分け方を再検討してみることも大切です。
仕事をサボる不良社員をクビに(懲戒解雇)できるか
会社を裏切り、就業時間中にサボっている不良社員に何らかの罰を課することは、正当な処分であると考えるのが一般的です。
しかし、法律に大きな壁があり、解雇が認められるには、極めて厳格な要件が必要とされており、そう簡単なことではありません。
「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」が争点
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
上記に定められている通り、解雇には客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当性が無ければならないということになります。
- 客観的にも事実として認められるか(具体的かつ客観的な証拠や証言)
- 対象者の行為(処分の理由)は事実か
- 就業規則の懲罰事由に該当しているか
- 企業も改善のための措置(指導・監督)を実行したか)
- 社会一般的に見て、処分は妥当か
正当な解雇のために必要なのは「サボりの証拠」
仕事をサボる社員が一方的に悪い場合でも、解雇はそう簡単ではないことがご理解いただけたと思います。
法的に解雇が認められるためには、「客観的に合理的な理由」つまり「サボりの証拠」が必要になります。
労働契約法に抵触することなく不良社員の処分を行なうためには、サボりの証拠を具体的に掴んでおくことが絶対不可欠です。
仕事をサボる不良社員へ給与の返還や損害賠償請求は可能か
不当利得の返還
働いていなければ賃金は発生しないというノーワーク・ノーペイの原則があります。
労働契約上、働いていなければ賃金が発生しないのは当然のことです。
ただし、働いていない時間に対して欠勤控除する条件や、給与の計算方法については、予め就業規則に定めておく必要があります。
定めていない場合、実際に勤務しなかった時間分の賃金をめぐってトラブルが発生します。
仕事をサボって、後から遡って欠勤控除を受けたというのであれば、不当利得の返還〔民法第704条〕も考えられるでしょう。
実損がある場合、損害賠償請求もありえる
不良社員のサボりによって、会社に具体的な損害をもたらした場合には、損害賠償の請求もありえます。
社員のサボりによって納期が守れず、大口の取引先に取引を解消され、会社の売上が3割落ち込んだ
社員のサボりによって機械点検を複数回怠り、機械の故障によって死傷事故が起きてしまった
これらは、労働契約上の義務を果たすにあたって発生した拡大損害に値するので、債務不履行による損害賠償のケースだとされます。
もし、こうした拡大損害があり、サボりと損害との因果関係が認められる範囲内で、損害賠償請求も可能になります。
不良社員のサボりの証拠を集める方法
不良社員への処分の正当性を証明するには、サボりの証拠を集めなければなりません。
効果的にサボりの証拠を集められる調査手法が「素行調査」です。
素行調査とは何か
調査対象者が、いつ、どこで、何をしていたかを監視し、証拠写真を撮影したり記録を残す調査です。
主な調査方法は、尾行と張り込みです。
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法人向け素行調査について
社員を対象とした素行調査の場合は、社員の出勤時の行動を追跡して、行動記録をとります。
- 通勤ルート
- 勤務時間中の外出先
- 外出先での滞在時間
- 外出中に接触した人物
- 勤務時間(始業、退勤時間)
- 社員が出勤のために家を出る時間
上記からわかるように、素行調査を行なえば社員の勤務実態とサボりの証拠を掴むことができるのです。
素行調査をプロの探偵に依頼すべき理由
素行調査には、専門の知識と技術が必要なため、個人で行なうのはリスクが大きいでしょう。
調査費用はかかってしまいますが、確実な成果を得るには専門の探偵に依頼することをお勧めします。
- 長時間の張り込みも可能になる
- 法的に有効な証拠となる撮影技術をもっている
- 対象者は調査員と面識がないため、会社の素行調査を気づかれにくい
- 尾行や張り込み中、対象者に気づかれにくく見失いにくいスキルをもっている
- 尾行や張り込みが対象に知られても、探偵の場合はストーカー規制法の適用外
仕事をサボる不良社員を処分する前に注意したいこと
サボりの証拠を揃えられれば、処分の準備を進められることになります。
しかし、不良社員の処分を検討する際は、いくつか注意すべきことがあります。
問題行動の改善を目指すスタンスで指導を行う
職務怠慢に対しては、まず、問題行動の改善を目指すスタンスでの指導が必要になります。
サボりを理由にいきなり懲戒処分を課すのではなく、まずは指導による改善を目指すことが大切です。
また、指導しても改善がみられず、解雇処分に至ったという場合でも、こうした指導の記録が重要な証拠になります。
社員に求める優先順位の検討
先に述べた「優秀な社員ほど仕事をサボる」説にも関係しますが、社員のなかには結果を出していればどれだけ息抜きしようが問題ではないと考えるタイプもいます。
このようなタイプは、パフォーマンスを上げるための自分のやり方を持っています。
勤務時間にサボっている事実があっても、結果を出せていればある程度許容するという考え方もあるでしょう。
社員の結果を最重視するのか、社員がサボらずに誠心誠意会社のために勤務時間を全うすることを最重視するのか?
社員に求める優先順位を検討し、社員の管理を行なっていくとよいでしょう。
その程度を見極める意味でも、素行調査は有効な手段と言えます。
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