日本におけるクラウドファンディングは、2011年の東日本大震災がきっかけで広がりました。
SNSの活用でグッと認知度が上がりましたが、クラウドファンディングでトラブルに遭うことは少なくありません。
そこで、クラウドファンディング詐欺について徹底的に調査しました。
本記事では、クラウドファンディング詐欺の5つのパターンと、実際にあった6つの詐欺事例をご紹介します。
さらにクラウドファンディング詐欺に遭ってしまった方に向けて、具体的な対処法を4つ解説しています。
目次
クラウドファンディング詐欺の調査で5つのパターンが判明
クラウドファンディング詐欺について調査したところ、5つのパターンがあることがわかりました。
- 約束した返礼品が届かない
- 説明と異なる商品が送られてくる
- プロジェクトが突然終了する
- そもそも嘘のプロジェクト
- 支援金を持ち逃げされる
クラウドファンディングには、難病と向き合う子どもたちの治療費を集めるような心温まるプロジェクトがたくさんあります。
「誰かの助けになれたら」という優しい気持ちから支援する方も少なくありません。
しかし、善意を悪用する一部のクラウドファンディング実行者がいるのも事実です。
大切な支援が無駄にならないよう、よくある詐欺の手口を知っておきましょう。
クラウドファンディングで集めたお金は「未達なら返金」が基本
クラウドファンディングで集められたお金は、プロジェクト未達成ならば返金されるのが基本です。
ただし、返金されるかどうかはクラウドファンディングのリターン形式により異なります。
プロジェクトが失敗した場合に返金されるリターン形式は、「購入型の一部」と「寄付型の一部」、「金融型」です。
「購入型」と「寄付型」には2パターンの決済方法があるため、注意しましょう。
- All or Nothing型(目標達成型):未達成なら返金あり
- All in型(実行確約型):未達成でも返金なし
なお、融資型、株式型、投資型の3パターンある「金融型」では、返金されても元本割れの可能性があります。
プラットフォーム(クラウドファンディングサイト)の返金対応については、プロジェクト支援前に利用規約の確認も重要です。
【調査結果】クラウドファンディング詐欺の実例|国内5例・海外1例
ここで、実際に起きたクラウドファンディング詐欺を6つご紹介します。
逮捕事例を含めた国内事例5件、海外事例1件です。
国内の事例においては、支援金額もトラブル内容も相談事例の多いものになりますので、ご参考ください。
逮捕事例|愛犬の治療費として約185万円を集めた26歳女
2022年4月に有罪判決を受けた事例です。(『東洋経済オンライン』より)
飼い犬がすでに亡くなっているのにもかかわらず、難病治療のための寄付を募りだまし取ろうとした実行者が逮捕されました。
「助けてください、時間がありません」との訴えに対し、愛犬家の支援者たちから多額の寄付が集まりました。
その額わずか1ヶ月半で約185万円にも上り、話題になりました。
その後、生前通っていた動物病院の関係者により詐欺であることが発覚し、逮捕に至りました。
国内事例1|飲食店の改装費に支援した1万5千円が……(30代・男性)
プラットフォームから、返金保証が受けられなかった事例です。(『国民生活センター』相談事例より)
常連だった飲食店の毎日食べ放題のリターンを得るために、店舗の改装費として1万5千円の支援をした30代の男性。
しかし、新型コロナウイルスの流行で店舗自体が閉店してしまいました。
当然プロジェクトは中止となり、プラットフォーム運営者に返金保証申請をします。
保証申請はメールのみの受付のため返信を待ちましたが、一向に運営者側からの連絡はありませんでした。
国内事例2|コロナ禍で夏用マスクに投資したのに……(50代・女性)
プロジェクトが終了しても、リターン品を受け取れなかった事例です。(『国民生活センター』相談事例より)
夏でも快適なマスク制作を支援するために、50代の女性は約1万3千円を支援しました。
プロジェクト終了後にリターン品である夏用マスクの到着を待ちわびていた女性ですが、なかなか送られてきません。
ネットで実行者を調べると、悪評ばかりであることがわかりますがどうにもならず……。
国内事例3|スマホの付属品に約2万円支援したが……(30代・男性)
プロジェクト実行者への問い合わせ先が突然海外に代わり、リターン品の問い合わせができなくなった事例です。(『国民生活センター』相談事例より)
リターン品であるスマホの付属品のために、約2万円を支援した30代の男性。
商品到着予定日になってもなかなか届かず、プロジェクト実行者に問い合わせをしました。
しかし、支援までは日本語でやり取りをしていたのに、突然海外の窓口に案内され英語での対応のみに代わってしまいます。
プラットフォーム運営者に苦情を入れたものの、規約どおり当事者同士での話し合いをするように言われ、商品も届かず返金もありません。
国内事例4|スマホと連携して睡眠時間が計測できる時計のはずが……(40代・男性)
返金対応があったものの、リターン品返送の送料負担や、返金方法が限られていた事例です。(『国民生活センター』相談事例より)
スマホと連携して睡眠時間が測れる時計に魅力を感じ、40代男性が支援しました。
プロジェクトは無事終了したものの、突然デザインや仕様変更が発表されます。
届いた時計は男性が支援したいと思うようなものではなく、実行者が行っている返金・交換対応に申し込みます。
しかし、リターン品の返送時の送料や、返金方法も電子決済方法のみと男性に不利益のある内容でした。
プラットフォーム運営者に問い合わせもしたものの返信もなく、保証もありませんでした。
海外事例|破格の電動自転車への支援で計6億円の被害が……
2015年にアメリカで起きた、クラウドファンディングサイト『Indiegogo』での事例です。
季節を問わずに使用できるタイヤを搭載した電動マウンテンバイクを、約7万円(当時の市場価格の5分の1)で受け取れると話題になりました。
結果的にサイトの発足以来2番目に大きい額の約6億円もの支援金が集まったものの、さまざまな問題が発覚します。
プロジェクト終了後の実行者のサポート不備や、リターン品であるマウンテンバイクの機能不足などで多くの被害者が出てしまいました。
クラウドファンディングの「やばいやつ」を見分ける3つのポイント
クラウドファンディングでトラブルに遭わないポイントは、悪質なプロジェクトを事前に見極めることです。
特に気をつけたいのは、次のようなケースです。
- 影響力のある発信者が手がけているプロジェクト
- 短期間での資金調達を行うプロジェクト
ここでは、トラブルに巻き込まれずに支援できるプロジェクトの選び方についてご紹介します。
この3つのポイントを押さえておけば、クラウドファンディングのリスクを大幅に減らすことができます。
ポイント1. プロジェクト内容を細かいところまでチェックする
クラウドファンディング詐欺かどうかを見分けるには、記載されているプロジェクト内容に「怪しいところ」がないか確認します。
チェックポイントは3つです。
- 資金の使い道がはっきり書かれている
- 目標金額が高すぎない、または低すぎない
- 掲載されている写真がフリー画像・他人の画像の使いまわしではない
プロジェクトで集めた資金の使い道が、わかりやすく書かれているかを確認します。
さらに、目標金額が高すぎず低すぎないプロジェクトであるかどうかも重要です。
目標金額が低すぎる場合、確実にプロジェクト達成して資金をだまし取ろうとしている可能性があります。
適切な金額かどうかを判断するために、似たようなプロジェクトを検索して目標金額を比較しましょう。
また、プロジェクトの説明に使われている画像が、実行者が撮影したものかどうかも確認します。
「どこかで見た覚えがある」「なにか怪しい」と思った場合は、画像をスクショしてGoogleで画像検索してみましょう。
ポイント2. 実行者についてネットで調べる
クラウドファンディング詐欺に遭わないためには、プロジェクト実行者についてよく知る必要があります。
実行者には、会社か個人の2パターンがあるのでそれぞれ調査しましょう。
- 会社:企業HPで実態があるかどうか
- 個人:SNSで怪しい人ではないか
実行者が会社であれば、業務内容などを確認しましょう。
実行者が個人の場合は、調べられる情報に限りがありますが、ネットで氏名を検索しSNS上で発信している内容などをチェックしましょう。
いずれにせよ少しでも怪しいところがあれば、支援しないことをおすすめします。
ポイント3. 信頼できるプラットフォームで支援する
クラウドファンディング詐欺は、信頼できるプラットフォームを利用することでリスクを減らすことができます。
プロジェクトを支援するときは、次のようなサイトを利用しましょう。
- 大手企業が運営している
- 実績が多い
- 詐欺被害の報告や口コミがない
クラウドファンディングの特徴として、詐欺以外にもトラブルに遭ってしまうことがあります。
実行者とのやり取りや返金保証など、真摯に対応してくれる運営者を選ぶことがトラブル回避につながります。
全体の3割がトラブルに!クラウドファンディング詐欺|5つの対処法
消費者庁『クラウドファンディング(購入型)の 動向整理』によると、購入型・寄付型のクラウドファンディングを行った全体の約3割がトラブルに遭っています。
なかでも、20歳代では43.3%と約半数が何らかのトラブル経験があることがわかっています。
クラウドファンディングで支援する前には、トラブルに遭ったときの対処法を知っておくことが大切です。
ここでは、クラウドファンディング詐欺に遭ってしまったときの対処法を4ステップでご紹介します。
対処1. 被害内容と証拠を集める
クラウドファンディング詐欺に遭ったときは、まず詐欺に遭った証拠や被害内容を集めます。
詐欺被害を訴える場合、詐欺の証拠や内容を説明しなければなりません。
ここで詐欺であることを示せないと、被害に遭ったままになってしまいます。
最低でも集めてほしい詐欺の証拠や内容は、次の4つです。
- プロジェクトの内容(URLと概要文のスクリーンショット)
- 実行者の情報(名前、住所など)
- 実行者とのやり取り
- 支援金の振込履歴
近年は詐欺だとわかりにくくなっているため、専門の調査会社に依頼するのもおすすめです。
対処2. クラウドファンディングサイトの運営者に連絡する
クラウドファンディング詐欺の証拠収集のあとは、プラットフォーム運営者に連絡します。
プラットフォーム運営者によっては、トラブル保証として支援金の80%を返金しているところもあります。
運営者への連絡前に、利用規約を確認してみましょう。
しかし、悪質なプロジェクト実行者とのトラブル対応には限界があります。
万が一運営者でも解決できない可能性を考え、運営者とのやり取りも保存しておきましょう。
対処3. 消費者ホットラインに連絡する
クラウドファンディングのトラブルは、消費者ホットラインに助けを求めることもできます。
消費者ホットラインは、国民生活センターが受け付けている消費者の相談窓口です。
「リターン品が届かない」「実行者やサイト運営者と連絡がつかない」といったときには、一人で悩まず相談してみましょう。
相談は無料ででき、通話料のみかかります。
消費者ホットライン:188
消費者ホットライン(平日バックアップ相談):03-3446-1623
10:00~12:00/13:00~16:00(土日祝日、年末年始以外)
参考:消費者庁
対処4. 詐欺の疑いが強ければ警察に通報する
クラウドファンディングのトラブルで、詐欺の疑いが強いときは警察に通報しましょう。
「犯罪かどうかわからない」という場合でも、相談できます。
こちらも相談は無料で、通話料のみかかります。
8:30~17:15(平日、各都道府県警察本部で異なる)
※上記の受付時間以外の場合、音声案内での対応の可能性あり
また、各都道府県警察の被害相談窓口で直接相談することもできます。
参考:政府広報オンライン
対処5. 『ファミリー調査事務所』に詐欺被害を相談する
ファミリー調査事務所には、詐欺被害調査における豊富な実績があります。
クラウドファンディングのトラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
ファミリー調査事務所では、24時間365日無料相談メールを受け付けております。
詐欺被害事例に経験のある調査員が対応いたします。
クラウドファンディング詐欺調査終了後も、弁護士・警察・専門家との連携サポート体制も万全です。