法人保険金詐欺とは、企業が不正に保険金を取得する違法行為です。
法人による保険金詐欺は、関係する企業だけではなく社会全体に影響を及ぼす詐欺行為です。
保険料の上昇や社会保障制度への負担増加など、私たちの生活に直接影響を与えます。
本記事では、法人保険金詐欺の概要やその種類、調査方法について詳しく解説します。
目次
法人保険金詐欺とは?
法人保険金詐欺の概要
法人保険金詐欺とは法人が保険契約を利用して不正に保険金を受給する行為を指します。
法人保険詐欺とは保険契約を悪用し、虚偽の申請をする詐欺です。
架空の事故や損失を申請し、保険金を不正に受給するケースが多く見られます。
保険金詐欺が発覚した場合、刑法第246条に基づく詐欺罪で処罰される可能性があり、初犯であっても実刑判決を受けることがあります。
法人保険金詐欺は、法人が関与するため、個人詐欺よりも計画的かつ組織的に行なわれることが特徴で、被害金額が大きくなるという特徴があります。
中古販売店のビッグモーターは顧客から預かった車にわざと傷をつけ、8万件、約90億円の不正請求をしました。
このように、法人保険金詐欺は組織的に行なわれ、金額も大きくなります。
法人が保険金詐欺を行なう動機
法人が財務的に困難になる場合、資金調達の手段として保険金詐欺に手を染めることがあります。
短期間で必要な資金を得られるため、経営者は法人保険金詐欺を行なうのです。
また、財務的に困っていなくても短期的な利益を得るために不正行為に走ることがあります。
特に、業界内での競争が激化すると、企業は生き残りをかけて保険金詐欺のようなリスクをおかすこともあります。
保険金詐欺が企業が生き残るための手段として利用されれば、結果として業界全体の健全性が損なわれます。
法人保険金詐欺が及ぼす影響
法人保険金詐欺は、関係する企業以外にも影響を及ぼします。
ここでは、その影響について解説します。
保険料の上昇
保険金詐欺が増えると、保険会社は支払う保険金の増加に対応するため、保険料を値上げせざるを得なくなります。
結果として、契約者である一般企業がより高額な保険料を負担することになります。
そのため、関係のない企業が詐欺による保険料上昇の影響を受けます。
また、健康保険などを悪用した保険金詐欺が増加すると、国民健康保険などの社会保障制度に大きな負担がかかります。
社会保障制度の維持にも影響を及ぼす可能性もはらんでいます。
企業や業界への評判・信頼性の低下
当然ですが、保険金詐欺をしたことが明るみになった企業は社会的信用を大きく失います。
信頼回復には長期間を要し、企業の存続自体が危ぶまれるケースも少なくありません。
実際、ビッグモーターの不正請求事件で、同企業は大きく評判を落とし、自力での再建を断念し、伊藤忠商事に売却しました。
また、ビッグモーターの詐欺の手口が明るみになるにつれ、自動車整備・中古車販売業界全体をの評判を大きく損ない、現在も業界全体に対する不信感は払拭できていません。
このように保険金詐欺は、関連する企業だけではなく業界にも影響を与えます。
法人保険金詐欺の手口
法人保険金詐欺にはいくつかの手口があります。
ここではその手口について説明します。
自己偽装型保険金詐欺
企業自身が火災や事故を偽装し、保険金を請求する手口です。
例えば、商品に修理や交換が必要だと偽り、実際には何も損傷がないのに保険金を請求する手口があげられます。
先ほど説明したビッグモーターの詐欺の手口は自己偽装型保険金詐欺に該当します。
自己偽装型保険金詐欺は、偽造された書類や証拠を提出し、保険金を不正に受給します。
便乗保険金詐欺
本来であれば保険金請求の対象とならない軽微な事故や損害を実際よりも大きく見せ、保険金を不正に受給しようとする手口です。
この詐欺は、本来の被害額を超えた額を得るために提出書類の偽装を行なうことが一般的です。
例えば、事故などにより商品が使い物にならない状態になったときに、実際の金額より水増しして、保険会社へ請求を行なう行為が、便乗保険金詐欺にあたります。
架空請求型詐欺
企業が存在しない損害やサービスについて保険金を請求する手法です。
偽造書類や架空の取引記録を作成し、存在しない被害に対して保険金を請求します。
例えば、実際には発生していない火災や盗難について保険金を請求する行為が、この保険金詐欺に該当します。
探偵が実施する法人保険金詐欺の調査
調査プロセスは以下のように進められます。
- 事前調査:対象者の生活習慣、社会的関係、過去の保険金請求の履歴などを収集。
- 現場調査:対象者の日常生活、活動範囲、社会的交流を観察し、写真や動画で記録。
- 証拠収集:医療機関の訪問記録、薬局での処方箋交付記録など、関連する証拠を収集。
- 分析と報告:収集した情報と証拠をもとに、詐病の有無を分析し、保険会社に報告。
保険金詐欺の疑いがある場合、保険会社は通常、探偵に調査を依頼します。
ここでは、探偵が実施する保険金詐欺を解説します。
事前調査
探偵による事前調査では、調査対象会社や調査対象者の背景や過去の保険金請求歴を徹底的に調べます。
綿密な事前調査により、調査の方向性を定め効率的な証拠収集が可能になります。
行動調査
探偵は保険金詐欺を立証するための多角的に証拠収集を行ないます。
書類の確認から聞き込み調査まで、幅広く調査します。
対象者を尾行し、客観的な証拠を収集します。
保険金詐欺の立証に必要な映像や写真収集します。
疑わしい行為やパターンを特定するために、被疑者の行動を監視します。
この調査により、実際の行動と申請内容矛盾、共謀相手がいる場合はそれらを明らかにします。
証拠収集
法律や保険に関する専門家(弁護士や保険調査員)に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
書類の確認から聞き込み調査まで、幅広く調査します。
また、保険金詐欺では、PCやスマホなどに残っている証拠を削除している場合があります。
その場合は、デジタルフォレンジック調査が有効です。
デジタルフォレンジック調査を活用すれば、削除されたデータでも復元できます。
復元されたデータは、法的手続きでも証拠として活用可能です。
当探偵事務所にもデジタルフォレンジック調査を実施可能な調査員がおり、状況に応じて調査可能です。
分析と報告
収集した情報や証拠を分析し報告書を作成します。
報告書は法的手続きにも使用可能です。
これまでの経験をもとに調査結果を提示し、今後の対応策について助言します。
法人保険金詐欺をあばく無料相談窓口
法人保険金詐欺は関係する企業のみならず、社会全体に悪影響を及ぼす詐欺行為行為です。
保険金詐欺の手口にはさまざまなものがあり、また、手口を巧妙化していることから、専門的なプロの調査と明確な証拠が不可欠です。
保険金詐欺の疑いがある場合は、調査の専門家である探偵に相談することを検討しましょう。
探偵による専門的な調査は、保険金詐欺の摘発と証拠収集において重要な役割を果たします。
法人の保険金詐欺を疑われる事案がある場合は、当探偵事務所にご相談ください。
ご依頼者の状況にあった、調査プランを提案します。
執筆/監修者:山内 和也2024年12月4日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。