婚約破棄をしても慰謝料を払わなくていい「正当な理由」をお伝えいたします。
婚約期間中、男女の一方から「結婚するのをやめたい」という話が持ち上がるケースがあります。
こうした形で婚約破棄を告げられると、婚約破棄された側はそれまで描いていた将来の生活像が突如消えてしまい、精神面に大きなショックを受けることになります。
その理由が納得できるものであれば、仕方ないと諦めることもできますが、説明もなく一方的に婚約破棄を告げられたり、またはその説明が全く納得がいかないものということもあります。
婚約破棄で受けた心のダメージは、決して金銭で癒され解決できるものではありませんが、法律上では金銭賠償(慰謝料)により婚約破棄の解決を図ることになります。
執筆者:篠原2024年1月11日
探偵調査歴10年。探偵調査歴15年以上の経験者の指導を受け下積み3年。問題解決してきた、数々の実績・経験を元に徹底的にわかりやすく執筆。
目次
婚約の意味とは?
日本の法律では、「結婚」は「婚姻」と呼ばれ、夫婦である事を意味しています。
「婚姻届」を役所に提出することで成立し、以下の変化があります。
これに対して「婚約」は、あくまで結婚を前提とする約束をしている状態であるので、上記のような法律上の夫婦ではなく、まだ「婚約者」という他人なのです。
婚約破棄とは、婚約を取り交わした後に婚約を一方的に(不当に)破棄することをいいます。
婚姻関係のない婚約でも破棄された側の心身のダメージは計り知れませんが、世間的に離婚と比較するとすれば形式上の夫婦関係を解約するわけではないので、日常的にそこまで大きな損害を被るわけではないでしょう。
ポイントは「しがらみがない」という点です。
婚約中なら大概は子どもがいない状態なので親権・養育費・元奥さん…という大きな影響がありません。
異性も失恋という印象で捉えてくれるため、恋愛の障害にならないでしょう。
婚姻関係の破綻に伴って慰謝料を払わなくていいような場合、その相場は100~300万円程度と考えられています。一方、婚約破棄の場合は50~150万円程度と少々安価となるとされています。
要するに自分自身の心のダメージさえ正常に戻ればやり直しがスムーズなのが婚約の解消です。ただしこれはあくまでも一般論であり、金額はケースバイケースです。
婚約成立を立証するには?
婚約は当事者間の出来事なので一般的に婚約の立証は困難になります。重要なポイントは「第三者から客観的に見て婚約が成立していた事実を証明可能できるか」です。
客観的に婚約の成立が認められる可能性が高いのは次のようなケースです。
- 結婚後の新居に引っ越した
- 結婚のために仕事を辞めた(寿退社)
- 両家の顔合わせをした
- 婚約指輪をもらっている
- 結婚式場を予約した
- 新婚旅行の申し込みをしている
- 結納を行った
婚約破棄しても慰謝料が発生しない?!
婚約破棄で慰謝料請求できる可能性があるのは次のようなケースになります。
- 不貞行為
- 暴行や侮辱
- 理由がない
- その他の理由
その他の理由に関しては具体的には下記のような事例が多いです。
たとえ相手がこれらを婚約破棄の理由として、慰謝料請求を拒んでもそれは破棄する上での正当な理由にならないことが多いのです。
- 性格が合わない
- 相手方ではなく、その親とそりが合わない
- 料理がまずい、掃除が下手
- 趣味や価値観が合わない
慰謝料を支払わなくてもいい「正当な理由」って?
反対に慰謝料請求された側にとって「正当な理由」がある場合には慰謝料請求は認められません。
もっとも、「正当な理由」の有無は、さまざまな事情を総合的に考慮して個別具体的に判断されますので、一般の方には抽象的でわかりにくい場合があります。
- 家庭内暴力(DV)・モラハラ
- 重要な事実に関する虚偽
- 他の異性との交際関係
- 婚約後に多額の借金が発覚した場合
前記のように婚約破棄する側の方が、精神面または財産面で損害が生じていると、婚約破棄による慰謝料請求が認められないこともあります。
むしろ破棄される側に落ち度があったと認められ反対に慰謝料を請求されかねません。
婚約破棄を理由に慰謝料等を請求しても、男女間に事実の認識に相違があることも多く見られ、そうしたときには容易に解決しないこともあります。
精神面または財産面で損害が生じていると、婚約破棄に責任のある側が、それを負わなければならないこともあります。
債務不履行について
婚約破棄という衝撃を受けた人は人生の階段を突然に見失うことになり、とても不安になります。
このままではよくない、新たな道に進むために決着をつけなくては…。
新居の契約、結婚式の予約などにお金を使っているが、婚約破棄になった責任はすべて相手側にあると思うので、相手に対し、その支払いを求めたい…。
今の自分のつらい思いも含め、それ相応の慰謝料を請求したいところですが、相手が話し合いで簡単に慰謝料を支払うとは限りません。
特にこちらの要求する額を素直に渡してくれることはほとんどないでしょう。
何を言っても無駄で、慰謝料なんか払う気はない!とはねつけるケースもあるそうです。
婚約が有効に成立しているとして、一方がこれを破棄したいと申し出たからといって、必ずしも慰謝料を払わなければならないわけではありません。
慰謝料というのは、精神的苦痛に対する損害賠償のことですが、婚約の破棄に正当な事由があれば慰謝料を払う必要はありません。
例えば、相手が大きな借金を抱えていた、重要な虚偽をしていたなどの事実があるとすれば婚約破棄による慰謝料の債務不履行に該当しません。
手切れ金と慰謝料の違い
慰謝料と手切れ金はいずれも男女問題でよく登場します。
ただ、慰謝料と手切れ金は意味が異なっているため、混同しないよう注意する必要があります。慰謝料請求のための知識として、手切れ金と慰謝料の違いを理解しておきましょう。
被害を与えた方が払うべき金銭
婚約破棄の慰謝料請求は話し合いで行うことも可能です。慰謝料を払いたくない正当な理由も聞けるかもしれません。
ただし、個人的な話し合いでは相手が言い逃れしたり、慰謝料請求に対して強固な姿勢を見せたりすることがあります。話し合いでの慰謝料請求が難しければ、裁判所で争うことになります。
手順を確認すると共に、相手の態度を考慮して慰謝料請求方法を検討しましょう。不倫などの男女問題の慰謝料請求訴訟にかかる平均期間は6ヵ月~1年半ほどだといわれています。
早ければ6ヵ月ほどで判決が出ますし、時間がかかる場合は1年以上の期間を見る必要があるのです。
婚約破棄の事情が複雑な場合は、さらに時間を要する可能性もあります。裁判所の混雑状況によっても期間が変わってくる可能性があるため、注意が必要です。
手切れ金は人間関係の清算のために、あくまで任意で支払われるお金です。たとえば恋人関係にあった男女が関係の清算に関して手切れ金を支払う等のかたちで使われています。
婚約破棄に関する調査レポート
調査による証拠収集が重要
婚約を破棄する側もされる側も、調査の対象となります。とにかく正当性を証明して、責任を負わせなくては被害を受けた方が辛いままですよね。
婚約成立を立証する証拠はもとより、婚約破棄に至るまでの相手の不貞行為の事実の数々などご自身では収集が困難な証拠を収集し慰謝料請求に向けたサポートをいたします。
調査によっては慰謝料を請求する側の不貞が見つかり、結果がひっくり返ることも十分あり得ます。
まとめ
婚約関係だからこそ正しい判断ができる
自力で決定的な証拠を集めることが難しく、慰謝料を請求することできなかったという方も多くいらっしゃいます。
また、調査会社に頼んだとしても証拠自体が元から一つもなければ、損害を負った事実も認められません。反対に慰謝料を請求されて困惑したり、事実と違うと憤慨している方もいるそうです。
婚約破棄に関して自分ではなく、相手に落ち度があったという正当な理由が認められれば婚約破棄は可能ですし、慰謝料支払う義務がない可能性が高いでしょう。
慰謝料請求の義務はないにしても婚約破棄することによって相手が傷つくことは確かです。
しかし、婚姻関係前だからこそ事を大きくせず解消して、またやり直すことができるチャンスとも言えます。結婚はスタートです。
スタート地点に着く前に、相手と心から一緒にやっていきたいと思えないのなら幸せな結婚生活を夢見ることは出来ません。