ある事件の被害者となった時、逮捕や裁判までは、警察、および弁護士が守ってくれますが、加害者のその後についてフォローすることは、ほとんどありません。
再犯を防止するために、刑務所に行った犯罪者がその後、どこに住み、どう更生に取り組んでいるのか、再発防止の仕組みがきちんと機能しているのかということが大事ですが、その実情はほとんど知られていません。
現実として、刑法犯で検挙された人のうち再犯者の割合を示す「再犯者率」は約6割と半数以上となっています。
特に性犯罪をはじめとする凶悪犯罪や、薬物依存などの再犯が問題になる犯罪ではそうした取り組みは欠かせないにもかかわらず、立ち遅れているのが現実です。
その反面、刑を終えて出所した人や罪を犯した人に対しては、本人に強い更生の意欲がある場合であっても、犯罪歴などが広められるプライバシー侵害や、就職先や住居の確保が困難であることなど、社会復帰に向けての基盤が確保しにくい実態があります。
刑を終えて出所した人たちの社会復帰と自立支援に必要なサポートも十分とはいえず、受刑者本人や、その家族に対する不当な差別や偏見などの問題も存在します。
これに関しては、現在の裁判制度が「被害者よりも加害者の人権を守っている」ことに起因すると考えられています。
当然のことながら、「犯罪者」や「元受刑者」に対する差別や偏見はあってはならないものですが、同時に、被害者にとっては、それが不安の元となることもあります。
ここでは、犯罪被害者となった時、その加害者が刑期を終えて出所した後、どこに住み、どんな生活をしているのか、本当に更生しているのかを確認する方法などについて、解説します。
執筆者:吉田2023年10月19日
男女トラブルカウンセリング歴10年以上。男女トラブルの問題解決を得意とする。調査も多数兼任・実績あり。依頼者に寄り添ったサポートが定評。
目次
1- 「再犯率が約60%」刑務所を出た後の厳しい現実
年間で刑務所を出る人はおよそ3万人。このうち、仮釈放されるケースが1万6千人、刑期を全うして出所する人が1万4千人です。
驚くべきことに、刑務所を出た後、5年以内に再び犯罪を犯し刑務所に戻る人が約6割もいます。
また、出所後の生活環境にも問題があります。約22%は親の家に戻るものの、約30%は親戚や友人、雇用主のもとへ、約5%は更生施設で生活します。
残りの約44%は「不明」とされ、多くの人が安定した生活基盤を持っていない状況です。
さらに、刑務所を出てからも制約が多く、例えば国家資格や免許があっても、一定レベル以上の刑罰が科された場合、それらの資格や免許は無効になってしまいます。
資格が必要な職に就くためには、一定の時間が経過するまで待たなければならない、といった障壁も存在します。
このような状況が、再犯のリスクを高めている一因とも考えられます。
前歴を隠し、社会の厳しい視線から逃れる
過去に犯罪を犯したことが知れると、住む場所や仕事において差別される可能性があります。そのため、多くの人が前歴を隠して生活をしています。
親や親族の元に戻っても、受け入れられない場合がある一方で、アパートを借りようとしても保証人がいないために住居が確保できないことも。
さらに、住居がないために生活保護も受けられない人も少なくありません。
罪を償った後の再スタートは厳しい
罪を犯したことは事実ですが、その後の社会復帰も重要です。
しかし、多くの場合、社会はこの人々を疎外し、就労の機会を与えないため、再犯のリスクが高まります。
約6割の人が刑務所に戻るという数字は、無視できない問題です。再犯すると、その人自身だけでなく、新たな被害者が出る可能性もあります。
更生する意志があっても、社会の制度や偏見によって自力での更生は難しいと言わざるを得ません。
このような状況が新たな被害者を生むリスクを高めています。
2- 法制度のギャップと社会の課題
約6割の元受刑者が再犯するという数字は依然として増加しています。
確かに、更生し、社会に戻る人も多いですが、現状の社会制度では、再犯防止のためのサポートが不足しています。
このような状況では、元受刑者が再び犯罪を犯すリスクが高く、それによって新たな被害者が出る可能性もあります。
政府は性犯罪者の再犯防止策として「GPS装着義務化」を検討しています。
米国や韓国ではこのような措置がすでに取られており、特に韓国では再犯率が大幅に減少しています。
ただし、GPS装着が元受刑者のプライバシーや自尊心に影響を与える問題も指摘されているため、まだ具体的な施行には至っていません。
このような不完全な法整備や、元受刑者に対する社会的な偏見が重なることで、再犯率は依然として高いままです。
ストーカー問題と安全対策の課題
「被害者通知制度」とその限界
被害者や目撃者は、検察庁に要請することで、事件の進行状況や加害者の出所情報などを事前に知ることができる「被害者通知制度」が存在します。
この制度は、特にストーカー事件などで加害者との接触を避けたい場合に役立つ情報を提供することがあります。
しかし、この制度にも問題があります。
例えば、出所する加害者が居住地を報告しない、あるいはあいまいな地域名だけを報告することが許されているため、実際にどこに住むのかが明確ではありません。
さらに、制度が完全に機能しているかどうかについても不確かな要素が多いです。
ストーカー被害の広がり
特にストーカー事件では、ただ被害者だけでなく、その家族や子どもも影響を受ける可能性があるため、事前にしっかりとした対策を練る必要があります。
制度の不備や限界を考慮に入れ、自分と家族の安全を最優先にする行動を取るべきです。
3- 軽微な犯罪と刑事処分の種類
刑罰の基本と「執行猶予」
犯罪によって受ける可能性のある刑罰は主に懲役、禁錮、拘留、そして死刑です。
懲役は刑務所で作業をさせる形の刑罰で、期間は無期または有期(1ヶ月から最大30年)があります。
一方、禁錮も刑務所に拘置する形ではありますが、作業は行いません。
「執行猶予」について
刑を受けたが、その実行が一時的に止められる「執行猶予」もあります。
この執行猶予は、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金に対して適用されることがあります。
例として、殺人罪の基本的な刑罰は死刑や無期懲役ですが、特定の条件下で、刑罰が3年以下の懲役に軽減される場合もあります。
その場合、執行猶予が適用されることがあります。
不起訴や罰金刑
被害者と示談が成立したり、その他の理由で検察が起訴しない場合、刑務所には行かない可能性もあります。また、罰金刑の場合も刑務所には行きません。
ただし、執行猶予がついたとしても、有罪判決は有罪判決。つまり、その人には「前科」がつくわけです。
犯罪にはさまざまな刑罰があり、その実施も状況によって変わるため、一概には言えませんが、これが軽微な犯罪についての基本的な知識です。
4- 犯罪者の"その後"をどう追跡するか
更生保護制度の問題点
現在の更生保護制度にはいくつかの欠点があり、その効果に疑問符がついています。
保護観察や保護司の不足、再犯防止への不十分な対応などが問題とされています。
監視の方法
元受刑者の動向を知りたい場合、最も確実な方法は、法務省が提供する「被害者等通知制度」を利用することです。
その上で、プロの探偵や調査事務所に依頼し、元受刑者の居場所や生活状況を追跡することが推奨されます。
自己監視のリスク
注意すべきは、自分で元受刑者の動向を追いかけることは危険が伴います。
元受刑者に発見されるリスクがあり、それが新たなトラブルを引き起こす可能性があるためです。
犯罪者のその後を知りたい理由は?
被害者の心情
被害者やその家族が犯罪者のその後を知りたいと思う背景には、しばしば内なる苦痛や自責の念があります。この複雑な感情は、被害者が過去の出来事に対して何らかの形で区切りをつけようとする心の動きとも言えるでしょう。
犯罪者の現状と反省
犯罪者が今、どのような心境にあるのかを知ることで、その人が犯した罪に対して真剣に反省しているかどうかが明らかになります。反省が見られたとしても、それが被害者から許されるわけではありません。被害者にとって、犯罪者は「永遠に反省すべき存在」となります。
終わりのない傷
被害者にとって、その痛みは容易には癒されません。訴訟が終わっても、判決が下されても、その心の傷は残り続けるでしょう。このような状況で、犯罪者がどうしているのかを知りたいという気持ちは、自然な反応かもしれません。
このような観点から、犯罪者のその後を追い続けることは、被害者やその家族にとって何らかの意義や解決をもたらす可能性があります。
犯罪者のその後をどう調査するか
探偵の専門性を活かして犯罪者を追跡
探偵は、個々の人々の秘密や個人情報を巧妙に明らかにするスキルを持っています。
その能力を活かし、犯罪者の現在の生活や行動パターンを詳細に調査できるのです。
調査を開始する前に、クライアントには調査の目的や範囲について十分に説明し、その承諾を得てから行動を開始します。
犯罪者であろうとも、理由を確認せずに調査を始めることはしません。
調査手段の詳細
素行調査
犯罪者の「今」を把握するために行います。公的なデータや口コミを通じて、その人物の過去から現在までの背景や行動を調査します。
尾行と張り込み
探偵は、犯罪者の動きを直接観察するために尾行や張り込みを行い、その生活状態を詳しく報告します。
情報収集
犯罪者が頻繁に訪れる場所や関わる人々からも情報を集めることで、より詳細なプロフィールを作成します。
このように、探偵は複数の手法を組み合わせて犯罪者のその後を綿密に調査し、その情報をクライアントに提供することができます。
5- 見えない不安や身を守るために
調査することで、被害者は心の中で区切りをつけたり、安心して日常生活を送るための一歩を踏み出すことができる場合もあります。
ファミリー調査事務所で提供するサービスには、元犯罪者に関する調査が含まれます。専門の相談員があなたの疑問や懸念に対して、経験に基づいた助言をします。
さらに、調査が終わった後も、心のケアやフォローアップのサービスを提供します。一度話をするだけで、内心の不安や疑問が解消することもあります。
当事務所では、日常のトラブルやストーカー問題など、被害を事前に防ぐための調査も行っています。
どんな小さな悩みも、一人で悩まずに、私たちと一緒に解決策を見つけましょう。
依頼をお断りすることも
復讐の意図で加害者を調査する場合、それ自体が法的に問題となる可能性が高く、さらなる犯罪を引き起こすリスクがあります。復讐行為は法によって罰せられ、その結果として両者がさらに敵対的な関係に陥る可能性が高いです。このような行動は短期的な満足感を得るかもしれませんが、長期的には被害者自身の心の平和や社会的な立場に悪影響を及ぼす可能性が高く、調査依頼をお断りさせていただいております。ファミリー調査事務所 お問い合わせフォーム
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