自動車窃盗の被害は昔から相次いでいますが、対策が拡充された結果、被害件数事態は減少の一途を辿っていると言われています。
しかし、現在の自動車窃盗はターゲットとなる車種が限定されてきており、特に中古市場のみならず海外での人気も高い高級国産車の被害が目立つ傾向です。
また、高級国産車の窃盗は組織的な犯罪にまで発展しており、2024年1月15日には犯行グループで盗難車の買取役であったインド人男性が逮捕されました。
依然として続いている高級国産車の盗難はどのようにして行なわれるのか、そして車輌オーナーが取るべき対策を探偵目線から解説します。
目次
ニュース概要
車にコードをつないで鍵を開けるCANインベーダーを使った高級国産車の窃盗グループの買取役とみられる、水たばこを楽しめるバーの経営者のインド人の男が逮捕されました。
レフマン・アヤン容疑者(30)は2023年3月、仲間と共に茨城県古河市内のコンビニ店の駐車場で、埼玉県内で盗まれたトヨタのアルファード2台を盗難車だと知りながら80万円で買い取った疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと、レフマン容疑者は主にアルファードを狙う外国人と日本人混成の窃盗団のメンバーとみられ、グループは車にコードをつないで鍵を開け数分で盗むことができるCANインベーダーを使って車を盗んでいました。
レフマン容疑者は盗んだ車の買い取りを担当していて、買い取った車はヤードに送っていたということです。
なぜ高級国産車が狙われるのか
現在の日本では国内メーカーの車だけでなく、海外からの輸入車も多く道路を走っています。
その中でも、なぜ日本メーカー製の国産車が狙われる傾向にあるのでしょうか。
狙われるのはトヨタ製高級車
令和5年の警察庁の統計において、盗難件数が多かった上位10車種は下記のようになっています。
- トヨタアルファード…700件
- トヨタランドクルーザー…643件
- トヨタプリウス…428件
- トヨタレクサスLX…261件
- トヨタハイエース…187件
- スズキキャリイ…115件
- ダイハツハイゼット…107件
- トヨタレクサスRX…88件
- トヨタクラウン…81件
- トヨタレクサスLS… 71件
- 日産スカイライン…71件
出典:警察庁
10車種の中でも突出して多いのがトヨタ製のアルファードやランドクルーザーとなっており、その他トヨタの高級ラインであるレクサスも狙われているのがわかります。
また、実用性の高いハイエースや軽トラックのスズキ製キャリィやダイハツ製ハイゼットもターゲットになっています。
上位の統計から読み取れるのは、近年の自動車窃盗は世界的にも人気の高いトヨタ製の高級車が最も狙われ、次いで発展途上国などで需要がある実用性の高い車が狙われている傾向です。
盗まれた車はどうなる?
もし車を盗まれてしまった場合、その車はどうなってしまうのでしょうか。
考えられるのは下記のような流れです。
違法販売業者のヤードに送られて解体される
盗まれた車を販売して利益を出すためには、違法な手段で手に入れられた車であっても買い取ってくれる違法業者に渡す必要があります。
買取を受け付けている違法販売業者には、車を保管し整備するための「ヤード」と呼ばれる場所も確保しており、盗まれた車もまずはヤードに運ばれます。
盗んだ車をそのまま売りに出す場合もあれば、解体して取り出した部品を海外などに売りに出したり、他の車の部品と組み合わせて正規車と偽って販売することもあります。
解体した部品を組み合わせた車は特定が難しくなる上に、日本車は特に部品の判別が徹底されていないため格好の的となってしまうのです。
販売利益は犯罪組織の資金源に
盗難車の販売で発生した利益は、犯罪組織の元に入ります。
そのため、売られるものは何でも売られてしまい、車内部の部品だけでなくカーナビなども売りに出されます。
こうした盗難車販売で得た利益を元に、犯罪組織は更なる自動車窃盗を繰り返したり、別の犯罪に手を伸ばしていく可能性が高いです。
また、元々ついていたナンバープレートも別の犯罪に利用される場合があるため、盗難車の持ち主は犯罪関与を疑われるといった「二次被害」を受ける可能性も少なくありません。
闇バイト・トクリュウとの関連も
今回ご紹介したニュースで逮捕されたのは外国人でしたが、近年目立つ「闇バイト」や匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」の手口として高級国産車窃盗が行なわれている可能性もあります。
指示役に集められたアルバイトは、住宅街の中からターゲットとなる車を探し出したり、盗んだ車の解体を命じられます。
この内、ターゲット探しは日本語や地図が読める日本人が駆り出され、解体などの肉体業務は外国人に任される場合が多いです。
もし深夜に住宅街を巡る内容のアルバイト求人があった場合は、自動車窃盗の一端を担わされる可能性があるため注意しましょう。
高級国産車を盗難されないための対策は?
せっかく苦労して購入した高級国産車を盗まれてしまうのは、とても大きな心理的・経済的負担を伴います。
所有する高級国産車が盗難被害に遭わないようにするためには、どのような対策は必要になるのでしょうか。
セキュリティシステムを導入する
一般的な車両オーナーができる対策の代表例でいえば、やはりセキュリティシステムの導入でしょう。
車両窃盗犯の主な手口としては、「CAN-バス」という車のネットワーク中心部にアクセスする機械「CANインベーター」を用いて車を操作して持ち去ってしまうものです。
現在、30〜40万円ほどかけて厳重なセキュリティシステムを導入することで「CANインベーター」を防ぐことができ、対策されているとわかれば窃盗犯も手を引く可能性が上がります。
しかし、従来の「CANインベーター」を超える機械が登場しているため、セキュリティ対策も根本的な対策とはいえません。
少しでも盗難被害を受ける可能性を避けたいという際には、導入する価値があるでしょう。
車にGPSを設置する
後手の対応にはなりますが、車にGPS発信機を設置しておくことで、もし車が盗難されたとしてもすぐに場所を突き止めることが可能です。
設置する場所は、できるだけ窃盗犯に見つかりにくいボンネットの内部などに設置した方が効果的といえます。
車体の外面などすぐ見える場所に設置してしまうと、取り外されてしまう可能性が高いです。
盗難被害が判明してから、できるだけ素早くGPSを解析することで盗難車の居場所がわかります。
探偵はどう読む
盗難車の捜索は、時間との勝負といわれています。
3日以上経つとヤードで解体の可能性や、海外に不正に輸出される可能性が高まるからです。
当事務所には、中東、東南アジア、ブラジルに独自の調査ルートがあります。
盗難されて警察に被害届を出したら、当事務所にご相談ください。
当事務所にご相談いただければ、独自の調査ルートで、盗難車を探索します
即日調査を開始し、盗難車があると疑われるエリアを重点的に捜索することも可能です。
執筆/監修者:山内 和也2025年1月20日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。
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