探偵コラム
ニュース概要
認知症の80代女性に高値でアパートを売りつけたとして、準詐欺容疑で不動産会社「インターネット不動産販売」(東京都板橋区)に勤務する男4人が逮捕された事件で、警視庁が4人の関係先から、80代以上の高齢者ら約9万人の名簿や詐欺のマニュアルを押収していたことが25日、警視庁への取材で分かった。 警視庁捜査2課は25日、この女性に昨年6月、相模原市の別物件を3400万円で売りつけたとして、準詐欺容疑で、東京都豊島区の山崎和馬容疑者(41)ら4人を再逮捕した。山崎容疑者らは物件を約300万円で購入。別の高齢者にも女性と同額程度で販売していた。(引用:「準詐欺容疑、関係先から高齢者9万人の名簿押収 認知症患者に高値で不動産販売」社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com) )
「準詐欺」ってどんな犯罪?
詐欺罪は、簡単にいうと、人から金品を騙し取ることによって成立する犯罪です。
詐欺罪は、欺罔(ぎもう)・錯誤・交付行為・財産移転といった4つの構成要件をすべて満たしている場合、成立する犯罪です。
準詐欺罪とは、知識不十分な人から、人を欺く行為(欺罔行為)に至らない単なる誘惑的行為によって、お金などの財物を交付させた、または財産上不法の利益を得た場合に処罰対象となる犯罪です。
「準」がついているからといって、詐欺罪より罰則や量刑が低くなるわけではなく、社会的弱者から金品を詐取すると言った点で、詐欺罪に比べると悪質性が高いとみられる場合もあります。
令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況
警視庁Webサイトの令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)によると、令和5年の特殊詐欺の認知件数は19,038件 (+1,468件、+8.4%)、被害額は452.6億円(+81.8億円、+22.0%)と、前年に 比べて総認知件数及び被害額は共に増加傾向にあり、内、高齢者(65歳以上)被害の認知件数は14,895件(-219件、-1.4%)です。
このように高齢者の詐欺被害は特殊詐欺の認知件数の8割近くを占めます。
この背景には高齢者が孤立しがちな社会情勢が関係していると考えられています。
自分の身近な家族が詐欺被害にあうことは、身近な人にとっても大変ショックなことですが、高齢の被害者自身も自責の念に駆られ、自殺に追い込まれてしまうケースも少なくありません。
また、被害にあわれた方の支えになろうとすることで、身近にいる方も調子を崩してしまう場合もあります。
弱者につけ込み、人生を狂わすなど、悪質な詐欺行為は断じて許すことは出来ません。
探偵はどう読む
探偵業界でも準詐欺行為の摘発があり、特に未成年、高齢者、精神疾患を持つ方々の判断能力が問題となっています。
探偵として、まずは法令遵守と倫理観を持つことが求められます。
契約行為においては、相手の判断能力を慎重に確認し、必要に応じて保護者や信頼できる第三者の同席を求めるべきです。
信頼を築くためには、透明性のある業務運営と定期的な教育・研修を通じて、業界全体の質の向上を目指すことが不可欠です。
執筆/監修者:山内 和也2024年6月26日
探偵調査歴20年。国内外の潜入調査、信用に関する問題、迷惑行為、企業や個人生活での男女間のトラブルなど、多岐にわたる問題を解決してきました。豊富な経験と実績を基に、ウェブサイトの内容監修や執筆も行っています。