企業の事業維持と利益拡大のためは、取引先の新規開拓が欠かせません。
ただし、新規開拓には利益の拡大が見込める一方で、売掛け金の未回収リスクを含んでいることを忘れてはいけません。
このようなリスクを回避し、新規開拓と同時に取引先企業の信用調査を実施する必要があります。
本記事では、信用調査(与信調査)の基礎知識と重要性、調査方法について解説します。
執筆/監修者:山内 和也
2023年3月29日
※調査で顔がバレてしまうとマズいので顔出しNG
目次
信用調査(与信調査)とは
取引相手のことを知るために行なう調査
信用調査とは、企業と取引する際に、相手の企業が信用できるか見極めるために行なう調査です。
支払い能力など、金銭的な信用度合いに関する情報だけでなく、さまざまな角度で企業を調査し、取引相手として問題がないかを確認します。
- 会社概要
- 会社の評判
- 業績事項
- 代表者事項
- 銀行取引状況
- 社員の評判
知名度が高い大手の企業だからといって安心だとは限りません。
順調に取引をしていても、財務状況が悪く突然倒産してしまうことも考えられますし、俗に言うブラック企業である可能性もあります。
特に新規取引を行なう企業の場合、長期的に安定した取引を行なうために、これらの項目はクリアにしておく必要があるでしょう。
引先の信用調査(与信調査)が必要な理由
売掛債権の未回収リスク低減のため
取引先企業が倒産してしまえば、回収不能な債権を抱えることになり、自社の損益に大きな影響が出てしまいます。
そういった未回収リスクを回避するためにも、取引先が契約通りに支払いを行なえる財務状況なのかどうか調査しておくべきなのです。
キャッシュフローの悪化を防ぐため
取引先の支払いがない、または遅延するという事態は、直接的損益だけではなく、長期的な自社事業全体のキャッシュフローにも影響を及ぼします。
また、業界内での自社の信用評価を悪化させる懸念もあります。
キャッシュフローの悪化によって自社の資金繰りが困難になってしまった状態のまま、未回収の取引先が倒産ともなれば、最悪の場合、連鎖倒産を招くことになります。
取り込み詐欺の被害に遭わないため
実際に支払い能力がないにも関わらず、はじめから代金の支払いを行わないつもりで取引を持ち掛けるケースや、実際には存在しない架空の会社だったという、所謂詐欺のケースもあります。
このような取り込み詐欺の被害に遭わないためにも、信用調査は不可欠だと言えます。
取引先の信用調査(与信調査)を実施すべきタイミング
信用調査を活用すべきタイミング
信用調査を活用すべきタイミングとして、以下のケースが挙げられます。
- 新規の取引先企業の経営状況(支払い能力があるか)を知りたい
- 既存の取引先の取引額を増やしたいが、上限を決めかねている
- 取引先について「経営が苦しい」といった噂を聞いた
- 取引先に反社会的勢力との関係が疑われる
- 取引先からの対応が悪くなった
信用調査は、新規開拓企業だけに目が行きがちです。
継続して取引を続けてきた既存の取引先企業の経営状況の悪化が疑われるときや、逆に取引額の拡大を検討しているときにも活用できます。
上記の例以外にも、小さな気づきから念のため信用調査を行なったら、取引先に問題があることがわかったというケースもあります。
些細なことでも違和感や不信感がある場合は、確認の意味でも迷わず調査してみるようにしましょう。
取引先の信用調査(与信調査)の具体的な方法
取引先の信用調査の具体的な方法は以下の4つです。
- 内部調査
- 外部調査
- 直接調査
- 依頼調査
内部調査
自社内にある情報を集めて判断する調査方法です。
例えば、自社の営業部や経理部などに蓄積されている情報や、過去の商談状況などを社員からヒアリングして収集します。
社内のリソースで行なうため、コストは発生しませんが、あくまでこれまでの取引状況によって判断することになるため、情報がかなり限られてしまいます。
外部調査
調査対象となる企業以外から情報を入手する方法です。
例えば、官公庁の登記簿情報から相手企業の経営状態を判断したり、対象企業の他の取引相手や金融機関へのヒアリングなどを行なう方法です。
インターネット上の公式HPやSNSの情報、口コミを検索することも外部調査の1つです。
直接調査
取引先企業に直接ヒアリングを行なう調査方法です。
取引先を訪問して企業の雰囲気を確認したり、電話やメール、FAX を用いて代表にヒアリングを行ないます。
しかし、この方法は一歩間違えると相手にマイナスの印象を与えるリスクもあるため、慎重にコミュニケーションをとることが重要になります。
依頼調査
信用調査会社や探偵事務所などに調査代行を依頼する方法です。
自社のリソースで不十分な場合や、情報漏洩が心配な時に利用します。
また、第三者に客観的に調査してもらうことで、社内調査の内容を精査し調査結果を強固にする目的で行なわれます。
取引先の信用調査(与信調査)の留意ポイント
前章では取引先の信用調査の方法について、それぞれの特徴を解説しましたが、信用調査ではどれか一つではなく総合的に見て判断することが重要になります。
定量的な基準で判定
所謂、数字的根拠に基づいたものを指します。
例えば、相手企業の財務状況や収入力は、直接的に与信枠の判断に利用できます。
特に注目すべき定量情報は、以下となります。
全体に占める自己資本比率が多ければ多いほど、資本の価値変動が少なく盤石な経営状態と判断できる。
1年以内で現金化できる有形資産が負債をどのくらい上回っているかで支払い能力を判断できる。
定性的な基準で判定
定性情報とは数字では測れないものを指します。
定性的な基準となる判断材料は、以下のような事項が挙げられます。
- 取引先の技量や社会的信頼性(評判)
- 経営者および経営陣の質
- 業界の将来性
- SNSの口コミ
取引先の信用調査(与信調査)はどこに依頼すべきか
取引先の信用調査を行なう場合、自社で調査を行なうのか、企業調査会社や探偵に代行調査を依頼すべきかで迷われると思います。ここでは、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
自社で信用調査を行なう
自社のリソースで行なうので、すぐに実行できてかつ費用がかからないことがメリットといえます。
その反面、該当企業に調査していることが気づかれやすく、逆に不信感を与えてしまいかねないというデメリットがあります。
特に長年継続して取引を行なっている取引先の場合は、かえって関係が悪化し、良好な取引であっても終了しなければならない事態に陥る可能性もあります。
また判断も主観的になってしまいがちで、せっかく調査を行なっても、問題を見過ごしてしまうという懸念もあります。
専門の企業調査会社に依頼する
取引先の信用調査のなかで、特に企業の資力や業績など定量情報に関する調査は、独自のノウハウを持つ企業調査委専門会社へ依頼することで、より正確なデータを取得できるでしょう。
一方で企業調査専門会社は定性情報の調査までは行き届かない場合があります。
データ収集に特化している分、依頼側の漠然とした不安や疑問の部分の解消や、相手企業の経営陣や従業員の素行や雰囲気など。
探偵に信用調査を依頼する
取引先の信用調査にある程度の知見があり、必要な情報がはっきりしている場合。
自力調査に加えて専門の企業調査会社に依頼することで問題を解決できるでしょう。
しかし、「取引先に対して不安があるが何をどうしたらいいかわからない」「そもそも調査が必要かもわからない」「企業調査会社では対応できない内容を調査したい」という場合は、探偵に依頼することをおすすめします。
探偵に依頼するメリットは次のことが挙げられます。
- 守秘義務により相手企業に情報が漏れない。
- 知りたい情報を元に調査方法を綿密に相談できる。
- 調査報告だけでなく、対処方法までアドバイスを受けられる。
デメリットは依頼コストがかかるという点です。
探偵の調査費用は、事前の情報量、取得する情報や証拠の種類、調査内容、調査期間(日数・時間数)などに応じて算出されます。
信頼のできる優良な探偵事務所は、本契約前に依頼者の要望をヒアリングしたうえで、根拠のある見積書を作成します。
予算と得られる情報の精度などを比較し、最良な探偵事務所を選ぶためにも、複数社に見積もりをとって検討するのも良いでしょう。
取引先の信用調査に関する無料相談窓口
気軽に相談できる無料相談窓口
取引先の信用調査は、相手企業の経営状況や業界評判を把握し、取引を安心して行なうために必要な調査です。また、自社の安定した利益維持には、安心できる取引先を持つことが必須となります。
取引先に対し漠然と不安や不信感がある場合は、自社の今後の方向性を見定める意味でも一度専門家に相談してみることをおすすめいたします。
当事務所の無料相談では、信用調査の専門家が必要な調査や情報の種類、情報収集調査の手続きなどをご説明いたします。ご要望を丁寧にヒアリングし、安全なプランニングをお約束します。
ご相談は無料です。1回のご相談で解決しない場合は、複数回ご相談いただいて構いません。お問合せフォーム・電話・メール・LINEにて、24時間・土日祝日問わずお受けしています。